健食危害相談増加傾向に 都消費生活総合センター(2016.4.21)


 健康食品に関する危害相談が増加傾向にあることが、東京都消費生活総合センターの調べで分かった。2014年度の危害相談件数は52件だったのに対し、15年度は上半期だけで55件に達した。「急増」とも言える形で件数が増えており、下半期の推移を注視する必要がありそうだ。

 この調べは、同センターや都内区市町村の消費生活相談窓口に寄せられた、商品や役務の利用に際してケガをした病気になったなどといった危害に関する相談情報を、PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワーク)を使って独自に分析したもの。11日に分析結果を公表した。

 調べによれば、15年度上半期の危害相談件数889件(前年同期比13.4%減)のうち、最も相談件数が多かったのは美容医療およびエステティックサービス(いずれも70件)。次いで健康食品(55件)、パーマ(37件)、基礎化粧品(同)が上位5位までに入った。

 健康食品に関する危害相談件数は、11年度から13年度は70件前後で推移、14年度は52件に減少していた。それが15年度は一転、上半期のみで前年度を上回った。「理由は不明だが、増加傾向にあることは間違いない。注視していかなくてはならないと思う」と同センター担当者は話している。

 健康食品に関する危害相談の内容をみると、腹痛など消化器障害が26件で最多、次いで発疹など皮膚障害が20件、その他の傷病及び諸症状が8件、不明が1件。同センターによれば、消化器障害と皮膚障害が相談の多くを占める傾向はここ10年で変わらない。また、危害の程度をみると、55件中40件が「医者にかからず」であり、大半が大事には至らなかったもようだが、「治療1~2週間」と「一カ月以上」がそれぞれ2件あったという。

 同センターによれば、今回の分析調査に際し、危害相談者に対して商品の成分や効果・効能について個別に尋ねたところ、成分について聞き取れたのは相談55件中37件に過ぎず、何を摂取しているか分からぬまま危害が生じたと訴えるケースも少なくなかった。また、効果・効能について聞き取れた13件の内訳をみると、ダイエット8件、バストアップ2件、月経前症候群抑制、むくみの解消、腰痛が1件ずつだったという。

 危害相談に関わらず、健康食品に関する同センターへの相談件数が増加傾向にあるようだ。昨年4月から今年1月まで10カ月間の健康食品に関する相談件数をみると、全ての月で商品・役務別上位10位に入った。前年同期に10位以内に入ったのは5回だった。

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