栄養成分 対象化巡り主張が二分 関与成分検討会 そもそも「反対」 議論にならず(2016.4.28)


 消費者庁は26日、機能性関与成分検討会の第4回会合を開き、検討課題の一つである「栄養成分の取扱い」について検討委員がそれぞれ意見を述べ、ビタミンやミネラルも機能性関与成分の対象にすべきだと訴えている事業者団体代表に対し、大半の消費者団体代表や一部のアカデミア委員は、対象化に強く反対する姿勢を鮮明にさせた。栄養機能食品制度がある中で、栄養成分を機能性表示食品の対象にすれば、「消費者が混乱する」「過剰摂取につながる」などと主張している。

 健康食品産業協議会や日本通信販売協会などの事業者団体代表は、前回の会合(ヒアリング)などを通じて栄養成分の取扱いに関する具体的な提案を行っていた。また、産業協議会は今回の会合に合わせ、機能性関与成分としての糖類・糖質の取扱いや、ビタミン類全般をはじめミネラルの一部を関与成分として取り扱う際の安全性担保に関する考え方に関する意見書を提出。ただ、そもそも論として反対意見を唱えるばかりの委員が多く、ほとんど議論にならなかった。一方、糖類・糖質に関しては、意見の大きなかい離はなかったといえる。

 また、一部のアカデミア委員は、ビタミンやミネラルの過剰摂取リスクに対する懸念に絡める格好で制度の早期見直しを消費者庁に要望した。「定められたADI(一日摂取許容量)よりも多く含まれるものが機能性表示食品として売られている場合もある」と国立医薬食品衛生研究所薬品部長の合田委員。日本栄養士会専務理事の迫委員も、「(ビタミン・ミネラルの対象化議論は制度の)見直しがされた上での話」だとした。
 栄養成分の取扱いに関しては次々回(第6回会合)でも取り上げられる予定。5月26日に行われる次回会合は、機能性関与成分が明確でないものの取扱いがテーマ。

機能性糖類・糖質の追加要望 関与成分検討会で健康食品産業協議会
 26日にあった機能性関与成分検討会第4回会合で、検討委員の健康食品産業協議会の関口会長は、オリゴ糖や糖アルコールなどのいわゆる機能性糖類・糖質はじめ各種食物繊維を、機能性関与成分の対象に組み込むよう具体的に提案した。ビタミン・ミネラルについても、食事摂取基準の耐用上限量を遵守するなどして過剰摂取が生じない一日当たり摂取目安量を設定した商品設計を行うなど、安全性担保の考え方を提示した。

 関口氏は、機能性糖類・糖質、各種食物繊維を機能性関与成分として取り扱うために、届出ガイドラインにある、食事摂取基準が策定されている栄養素の例外規定「対象成分になりうる構成成分等」の改訂を提案。機能性糖類・糖質は、例えばオリゴ糖の整腸機能など、エネルギー源としての栄養機能以外の生理機能も持つため、例外規定に該当するとの考えを示した。

 ただし、「全ての機能性糖質・糖類が関与成分になる訳ではない」とも強調。届出ガイドラインで規定される安全性、機能性、品質管理を「満たし得るものだけが関与成分になり得る」としている。

 一方、安全性担保の考え方を示したビタミンについては、ビタミンDや葉酸など耐用上限量が設定されている成分と、ビタミンCやビタミンKなど設定されていない成分を区別して商品設計する方策を提示。後者については「現行のガイドラインに沿って安全性評価を行う」とした。

 他方で、ミネラルについては、耐用上限量が設定されているカルシウム、銅、鉄、亜鉛、マグネシウムのみ機能性関与成分の対象に組み込むよう要望。それ以外のミネラルは「現状では安全性担保の方策が構築できない」として要望しなかった。

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