腸内フローラがアトピー、脳機能に関連 シンポジウムで新知見(2016.5.16)


 腸内フローラが新たにアトピー性皮膚炎に関与することや、脳機能、肥満に関わる新たなメカニズムが発表された。12日都内で開催された日本プロバイオティクス学会が主催する「プロバイオティクスシンポジウム16」でのもの。当日は大学や乳酸菌メーカーの研究員など約100名が出席した。

 東京農業大学生物産業学部の遠藤明仁准教授は、最新の解析により、子どもの腸内細菌叢では必要以上に急激な変動が健康に悪影響を及ぼすと説明。アトピー性皮膚炎の子どもは健康な子どもに比べ、腸内細菌叢の菌種が早期に増えていることを発表した。

 最近は腸の状態が感情など脳機能に影響を与える「腸脳相関」が注目されるなか、東海大学医学部付属病院の渡邉己弦氏は、マウスを対象にした試験で、腸内細菌叢の有無と攻撃性を調査した研究結果を報告。腸内無菌マウスは腸内常在菌保有マウスに比べて攻撃性が高く、無菌マウスに腸内常在菌を投与したところ攻撃性は見られなくなり、腸内細菌叢が脳機能に影響を与えていることを示唆した。

 東京農工大学大学院の木村郁夫准教授は、新たに分かったこととして、ビフィズス菌などの代謝産物である短鎖脂肪酸と、その受容体が肥満や糖尿病に関与することを説明。短鎖脂肪酸は交感神経系に高発現する受容体のGPR41を介し、交感神経を活性化してエネルギー消費を増大する。また、同じ受容体で白色脂肪組織に主に発現するGPR43は、インスリンの働きを抑制して脂肪の蓄積を抑える作用があると報告した。

 江崎グリコ㈱健康科学研究所の青木亮氏は、ビフィズス菌のひとつGCL2505株は、肥満軽減との関与が指摘されている腸内細菌のバクテロイデスとファーミキューテスの比率を減少させたことを発表した。
 

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