機能性関与成分検討会レポート(後)(2016.5.12)
糖類・糖質は折り合えるか
ほとんどの商品が機能表示も安全表示もされていない。商品の安全情報が隠れてしまっているために、不安全なことが起こっているのに表に出てこない可能性もあるが、それが機能性表示食品になると、表に出てくるようになる。一歩前進させるためには、いま世の中に出ている商品を機能性表示食品の仲間に取り込むことが非常に重要」
ビタミン・ミネラル等の栄養成分や、機能性関与成分が明確でないものも機能性表示食品に組み込む「意義」について、健康食品産業協議会会長の関口委員はこう述べた。特に栄養成分の機能性表示に関して言えば、一次機能も含めた食の機能の消費者啓発・教育の一助とできる可能性があり、河野委員が必要性を指摘する「消費者リテラシーの向上」にもつながる。
関口委員はこの日の会合で、ビタミン・ミネラルを機能性関与成分として取扱う際の安全性担保の考え方や、同じく制度組み込みを要望している糖類・糖質に取扱いに関して具体的な提案を行った。
ビタミン類については全般的に制度組み込みを要望しており、ビタミンDや葉酸など耐用上限量が設定されている成分については「食事摂取基準の耐用上限量を遵守」、「国民の摂取状況を十分考慮」した上で過剰摂取が生じない一日当たり摂取目安量を設定する方策を提示した。ビタミンCやKなどの耐用上限量が設定されていない成分については「現行のガイドラインに沿って安全性評価を行う」としている。
ミネラルについては、耐用上限量が設定されているカルシウム、銅、鉄、亜鉛、マグネシウムのみ制度組み込みを要望。それ以外の成分については「現状では安全性担保の方策が構築できない」として要望しなかった。
過剰摂取を防ぐ方策についてはほかに注意喚起表示を行うことを提案。製品中の栄養成分1日当たり摂取目安量が耐用上限量の何割に相当するかも表示する。さらに容器包装に添付文書を付けたり、各成分の情報や安全な摂取方法をウェブサイトで提供するなど、容器包装表示以外の情報提供による注意喚起を行う方策を示した。
一方、オリゴ糖や糖アルコールなどの糖類・糖質については、届出ガイドラインに盛り込まれている、食事摂取基準が策定されている栄養素の例外規定「対象成分になりうる構成成分等」の改訂を提案した。
糖類・糖質は、例えばオリゴ糖の整腸機能やアラビノースの血糖値上昇抑制作用など、エネルギー源としての栄養機能以外の生理機能も持つため例外規定に該当するはずだとし、届出ガイドラインで規定される安全性、機能性、品質管理の要件を満たす糖類・糖質に関しては、例外規定に追記するよう要望している。
同委員によると、糖類・糖質を機能性関与成分の対象に加える是非を巡っては、日本食物繊維学会、日本応用糖質学会、日本生活習慣病予防協会なども「支持」。「産業界だけでなく、学会などからも望まれている」という。
この提案に対して吉田委員(=関西大学化学生命工学部教授)は、「オリゴ糖や糖アルコールは機能性表示の仲間に入れてよいと思っている。従来の栄養学で言っていた糖質ではないもの(エネルギー源になりにくいもの)は入れて差支えないだろう」などと発言。この日の会合で糖類・糖質の取扱いに関しては、委員間の意見の大きなかい離は見られておらず、安全性などに関して条件付きで制度に新たに組み込まれる可能性は高いと言えそうだ。 (了)
【写真=第4回検討会の様子(4月26日、東京・千代田区)】