大麦の機能表示実現に向け 国内外で機運高まる(2013.11.7)
大麦食品による国民の健康増進を目指す大麦食品推進協議会は10月26日、「第11回大麦食品シンポジウム」を都内で開催した。今春に日本健康・栄養食品協会が食品の機能性評価事業で大麦由来βグルカンをB評価して以降の初のシンポジウムで、同協議会では大麦の機能性研究を中心にこれまで以上の普及・啓発活動を推進していくことを報告した。
最初に挨拶した同協議会会長の池上幸江氏(大妻女子大学名誉教授)は、「最初は手探りで活動してきたが、ようやく国内外で大麦の機能性について盛り上がりが見えてきた」といい、米国や欧州のような機能性表示を日本として実現できるよう強調した。
当日の講演では、同協議会技術部会が取りまとめた大麦由来βグルカンの機能性について㈱ADEKA ライフサイエンス材料研究所の椿和文室長が説明。機能性評価事業の結果について、血中コレステロールの正常化や食後血糖値の上昇抑制などの機能が高い評価を得て、評価委員から「限りなくAに近いB(評価)だった」ことを振り返り、来年度以降に緩和される見通しの機能表示に向け一歩前進した状況であることを報告した。
次いで講演した同協議会サポーターズの銀座泰江内科クリニックの泰江慎太郎院長は、年々増加する糖尿病を予防する手法として「栄養学・医学・運動」を提示した。そのうち栄養学の面から大麦摂取による内臓脂肪面積の減少を確認し、「(大麦に含まれる)食物繊維は(2型糖尿病治療に用いられる)レジン同様の胆汁酸の吸着作用がある」とし、胆汁酸を合成しエネルギー代謝を促進することでメタボ予防に期待できると結んだ。
【写真はシンポジウム会場。大麦に含まれるβグルカンの有用性など報告】