新ダイエット素材 日本にも クルクミン好調(2016.6.9)
【Interview】
ヴィジ・ナイルCEO (印サミ・サビンサグループ サミラブズ社)
印サミ・サビンサグループの製造および研究開発部門であるサミラブズ社CEOのヴィジ・ナイル(VGNair)氏(=写真)が健康産業流通新聞などの取材に応じ、新たなダイエット(ウエイト・マネジメント)サプリメント原料の供給を始める計画を明らかにした。日本市場にも投入する方針。関連特許の取得をはじめ安全性試験や臨床試験などをほぼ終えており、現在、販売開始に最適なタイミングを検討している段階だと言う。
アーユルヴェーダ・ハーブを中心とする植物起源サプリメント原料の製造販売を各国で展開するサビンサグループは、ダイエット向けサプリ原料の開発に定評がある。これまでにコレウスフォルスコリ抽出物「フォースコリンパワー」など、米国や日本などで大ヒットした素材を開発。ナイル氏は新原料の概要について詳細を明らかにしていないが、近年のダイエット市場には新原料が限定的なこともあり、どのような原料か注目されそうだ。
また、ナイル氏はグループ全体の業績について「ここ4~5年は、毎年およそ20%の割合で売上高が増加している」と述べ、「消費者はサプリメントにも『ナチュラル・プロダクト』を求めている」ことが背景にあるとの見方を示した。
特に売上が伸びている原料についてはウコン抽出物「クルクミンC3コンプレックス」を挙げ、昨年、米国市場のみで年間100㌧を供給したと説明。今年は更に伸張しており、「月間で20㌧を供給している」と述べた。ウコン抽出物は日本では肝機能対応素材として利用が広がった一方、海外では「非常に強い抗炎症素材として取り扱われている」という。
日本の機能性表示食品制度への対応については、「『C3コンプレックス』一つとってみても、50報以上の文献が出ている。しかし、なぜ病態の人を被験者としてはならないのか。ロジカルではないと思う」などと述べ、病者を被験者にした臨床試験論文を採用できない研究レビューのルールに疑問を呈した。
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前述以外のナイル氏との主な一問一答は以下の通り。
──サプリメント原料の売上トップ3は。
「世界的に最も伸びているのは『クルクミンC3コンプレックス』、次に小麦ふすま発酵エキス末の『ダイジェザイム』、次いで『バイオペリン』と『シルビノール』がほぼ同等。クルクミンについて特に米国では、医師が抗ガン剤治療に活用する動きが広がっている。副作用の低減などが期待できるためだ」
──クルクミンは競合メーカーも多い。
「確かに、『C3コンプレックス』と同様に、クルクミノイドを95%以上で規格した製品が多く出ている。しかし我々は、そのスペックと品質の両方に自信を持っている。『100%ナチュラルのクルクミノイドが95%以上含まれる』と自信を持って言える製品がどれだけあるだろうか。『C3コンプレックス』は銘柄指定で購入されている。米国では、それによって販売量が伸びている」
「サミ・サビンサグループの使命は、なにより品質の高い製品を供給することだ。顧客と約束を交わした品質の製品を供給し続けること。そのためにR&D(研究開発)部門の拡充にも力を入れている。当社のR&Dセンターには100名以上の科学者がおり、うち40名以上がドクターだ」
──日本でクルクミンは、肝機能対応素材としての認知が強い。
「我々も日本での売り方に悩んでいる面はある。クルクミンは非常に強い抗炎症作用を持つ素材として日本以外では取り扱われている。抗酸化作用も同様だ。その意味で『万能薬』のようなものだと言え、欧米では関節ケアにも利用されている。日本では関節ケアと言うと、まずはグルコサミンが挙げられるようだが、我々としては、まずはクルクミン、その次にボスウェリンの配合を考えるのが一般的だと考えている」
──日本の機能性表示食品制度にどう対応するか。
「クリニカルトライアル(臨床試験)を行った製品が当社には多くあり、病態の方にも(一定の)効果を示すものが植物(由来サプリメント素材)にもあるのだと、グローバルに紹介している。それにもかかわらず、(日本の制度に対応するために)なぜ健常者を対象に試験をやり直さなければならないのか、という話は当然ある。それについて結論はまだ得られていない」
「(機能性表示食品制度は)予防医学の考え方に近いと思う。予防医学としてサプリメントを摂取させるという意味は理解できなくはない。しかし、将来的にどのような病気に罹るかが分からない人を対象にクリニカルトライアルを実施するというのは、ナンセンスではないか。薬を使わずにサプリメントでトリートメントできることが分かっているのであれば尚更だ」
ナイル氏の取材に同席した㈱サビンサジャパンコーポレーションの柴山信幸代表は、機能性表示食品制度の対応について次のように述べた。
「システマティックレビューに関するご要望は数多くいただいている。ただ、VG(ナイル氏)が言う通りの理由もあり、我々としては様子を見ている段階だ。例えば乳酸菌のように、あえて機能性を謳わなくても売上が大きく伸びている現実もある。2016年を通じて機能性表示食品制度が、業界全体にどれだけのベネフィットをもたらすのかを見極めたい」
(聞き手/構成=本紙記者・石川太郎)