含有量ばらつき、品質に問題 検証結果を一部公表(2016.6.9)
消費者庁は、昨年度に実施した機能性表示食品に関する研究事業の結果概要を公表した。5月26日に開催した機能性関与成分の取扱い等に関する検討会の中で明らかにしたもので、このうち、機能性関与成分に関する検証事業では、機能性表示食品17品を買上げて機能性関与成分の含有量を調べた結果、一部で表示値を下回ったり、過剰に含まれているものがあったほか、同一製品でもロット間でばらつきが大きいものがあった。
資料追加など方策を検討
機能性関与成分に関する検証事業では、昨年9月30日までの届出資料に記載された定性・定量の分析方法についても検証を実施。機能性関与成分が含まれるかを分析する定性確認では、対象になった機能性関与成分164成分中、約7割の114成分が記載の分析法で同定可能(機能性関与成分に特異性が高い分析法)で、23成分はやや特異性が低いとした。一方、27成分は特異性がない分析方法とした。
関与成分の配合量を分析する定量確認については、6割強の103成分が記載の分析方法で可能と考えられるが、約3割の47成分は「届出情報が不十分で、第三者が自分で論文/文献等を調べて分析する必要がある」とした。
一方、届出られた研究レビューの検証事業では、昨年10月31日までに公表された122食品中、重複分を除いた51編の研究レビューが届出ガイドラインに基づく手法で行われているかを検証。主な結果としては、PRISMA声明チェックリストに不備、記述がない、不十分な研究レビューがあった。また、文献検索の方法に不備があると疑われるものもいくつかあった。
同庁はこれらの結果から、分析方法の資料追加や訂正などを求めることを検討するほか、PRISMA声明チェックリストの拡張版を策定し、質の高い研究レビュー資料になるよう周知を図っていく考えを表明した。
機能性表示、認知は13%
また、今年3月半ばに20~69歳の男女3091人を対象にインターネットで実施した「機能性表示食品制度に対する消費者意向調査」では、機能性表示食品を「どのようなものか知っている」消費者は13.2%にとどまった。同じ保健機能食品で、食品機能の表示が可能な特定保健用食品(トクホ)は28.6%、栄養機能食品は17.1%だった。「名前を聞いたことはあるがどのようなものか知らない」と回答した52.7%を合わせても65.9%と、トクホ(81.3%)、栄養機能食品(74.4%)より低かった。
調査ではこの65.9%の消費者(2037人)に機能性表示食品制度の詳細についても調査。「事業者責任で科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である」「販売前に安全性と機能性の根拠情報等が消費者庁長官に届出られたものである」ことを知っていたのは3割を超えたが、「安全性と機能性の根拠情報等が公開されていて、購入前に見ることができる」「製品に『機能性表示食品』や『届出番号』が表示されている」ことを知っていたのは2割強だった。
一方、「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない」ことを知っていたのは5割強で、トクホ、栄養機能食品と大差なかった。
消費者庁は昨年11月に行った「消費者意識基本調査」でも、機能性表示食品の認知調査を行っているが、このときは「どのようなものか知っていた」(10.5%)、「名前を聞いたことはあったが、どのようなものか分からない」(38.7%)という結果だった。