口腔フローラも知見紹介 腸内細菌学会に600名(2016.6.23)


 今注目度の高い腸内フローラに加えて、口腔フローラについても研究発表が行われた「第20回腸内細菌学会」が9日、10日、東京大学の伊藤国際学術研究センターで開かれた。2日間で食品メーカーや大学の研究者など約600名が参集した。

 シンポジウムでは、森永乳業㈱基礎研究所の小田巻俊孝氏が、現在約50種類の存在が確かめられているビフィズス菌について、菌ごとの性質の違いを発表。まずヒト由来では、腸管から検出されるビフィズス菌は10種類ほどしかなく、乳児と成人で生息する菌種が異なると説明。そのなかで乳児に多いヒト由来は、母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖の代謝関連遺伝子が多いだけでなく、母乳中の抗菌活性物質のリゾチームに対して高い耐性を示すと紹介。一方、動物由来やヒト成人に多いビフィズス菌は、リゾチーム耐性が低く、母乳を添加した試験では生育が抑制された結果になったことを明かした。

 福岡歯科大学口腔保健学講座の谷口奈央氏は、乳酸菌を用いた口腔の健康管理をテーマに講演。口腔の健康管理に利用される乳酸菌には、「ラクトバシラス サリバリウス」「ストレプロコッカス サリバリウス」などがある。谷口氏は、「ラクトバシラス サリバリウスWB21株」を口臭外来患者に継続摂取してもらった試験で、2週間の摂取により口臭成分減少と歯周ポケット改善作用が確認されたと発表した。

 招待講演では九州大学大学院教授の須藤信行氏が、腸内フローラとストレス応答について解説するなかで、無菌マウスでは感覚や運動など脳の高次機能を司る大脳皮質と記憶に関わる海馬で、神経成長因子が少ないと報告した。

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