認知症の診断法など解説 葉酸、カフェインが有用(2016.6.23)
健康・長寿研究談話会(旧ホスファチジルセリン研究会)は17日、「第10回アカデミックサロン」を、東京・文京区のホテル椿山荘東京で開催した。食事と飲み物を摂りながら、演者が提供するアカデミアな話題をディスカッションする会で、今回は東京都健康長寿医療センター研究所の石井賢二神経画像研究チーム研究部長が「認知症先制医療に向けた臨床研究の現状」をテーマに講演した。
石井氏は、病理検索でアルツハイマー病との関係が明らかになった、脳の異常タンパク病変、中でもこの10年で臨床研究が加速したアルツハイマー病の最早期のイベントであるアミロイドβの沈着(老人斑)に着目し、それを可視化できるアミロイドPET評価法の最新研究を紹介。アルツハイマー病が過半数を占める認知症患者は、2013年度で全国に約462万人、医療費は約14.5兆円と推計されるが、認知症の発症を5年遅らせることができれば医療コストは半分に抑えられると語った。
同氏はまた、アルツハイマー病予防に役立つ栄養素等として、葉酸とコーヒー(カフェイン)を挙げたほか、ビタミンE、Cのミックスも有用であることを、メタ解析結果の資料などを示して説明した。
一方で糖尿病、中年期高血圧、中年期肥満、喫煙、うつ、低身体活動、低知的活動は7つの危険因子だと語った。
【写真=講演する東京都健康長寿医療センター研究所の石井賢二氏(17日、東京・文京区)】