厚労省 制度化へ2段階分け案示す HACCP検討(2016.6.23)
国内の食品衛生管理に国際標準化されたHACCPの導入を検討している厚生労働省は、HACCPを国内制度化する際の考え方案をまとめ、15日に開催された「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」(五十君靜信座長・東京農業大学教授)で提案した。委員も概ね了承し、今後、同検討会で具体的な中身について詰めていく。
厚労省の考え方案は、コーデックス委員会が策定したガイドラインに示すHACCP7原則(危害要因分析、重要管理点の決定、管理基準の設定、モニタリング方法の設定、改善措置の設定、検証方法の設定、記録と保存方法の設定)の全ての実施を求める〝A〟と、そこから漏れる事業者などを対象に、HACCPの考え方に基づく衛生管理計画の作成、実施を求める〝B〟の2つに分けて制度化を進めるというもの。〝A〟は既にHACCPを導入している事業者やHACCP管理を受け入れやすい製造業者などを、〝B〟は家族経営や中小零細事業者など、経営状態や人員的にHACCP導入が困難な場合を想定している。
厚労省は当初からHACCP導入対象になる食品と対象外の食品とに分けて考える姿勢を示しており、今回の考え方案はそれに合致する。
ただ、A、Bとも業種などの違いで対応に幅が想定されるほか、もっと段階的にHACCP導入を求める委員もおり、今後の議論が注目される。
コーデックスでもHACCP適用に際し、「実施作業上の性質と規模を考慮すべき」と、柔軟な運用を認めている。検討会で行った業界団体等へのヒアリングでも、中小零細企業はHACCPに対応できないとの意見も多く聞かれ、柔軟な対応や配慮を求めていた。
次回はこの考え方を軸に、具体的な中身について肉付けしていくことになり、9月には取りまとめ案をまとめ、これに対する意見募集を経て年内に最終取りまとめを行う予定だ。
【写真=厚労省案を概ね了承した15日の検討会(東京・千代田区)】