藻類由来DHAを独自加工 臭気抑え一般食利用も(2016.6.23)

01ZOOMUP不二製油 清水社長 ズームアップカット小

【Zoom UP】 機能性表示食品の関与成分として、中性脂肪の上昇抑制や記憶力サポートなどの機能表示で届出受理が増えてきたDHA、EPA原料。1990年代から市場形成してきた素材だが、魚臭の問題などもあり一般食への定着が進みにくかった経緯がある。

 そのようななか、藻類由来のDHA原料を独自加工し、魚臭の軽減とともに酸化安定性などに優れた食品原料を不二製油グループ本社㈱(大阪市北区)がこのほど開発した。企業との協業を進め、来春を目途に一般食での最終商品が市場投入される見通しだ。当面は同社関東工場で限定的に生産し、市場の反応をみて本格的な稼働を開始する。「画期的な新商材」(清水洋史社長)として将来的には海外への展開も視野に入れる。

 14日に開かれた事業構想発表会で今後の構想が語られた。同社は中期経営計画の策定のなかで、いくつかの新たな事業方針を打ち出しているが、〝安定化DHA・EPA事業〟への取組みは、「新規事業の中核となる」(清水社長)位置付け。DHA市場の将来性について同社では、超高齢社会を迎えるにあたり、認知機能改善などの機能を持つ同素材が与える市場への影響を、厚労省が発表した認知症有病者数の約400万人の半分200万人を対象と捉え、市場規模は5840億円と算出している。

 同社が手掛けるDHA・EPA原料は、魚臭を抑えるために、藻類由来のDHA原料に加え、ビタミンCやポリフェノールなどの難溶性抗酸化成分を安定的に配合することで劣化臭を大幅に軽減させることに成功した。DHA、EPA濃度11.4%の同社原料と、ほぼ同濃度の魚油と比較し数%以下の臭気になることを確認している。

【写真=不二製油グループ本社の清水社長】

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