SR評価、結果一部公表 49編の〝質〟を検証(2016.7.7)


 日本健康食品規格協会(JIHFS)は6月27日、第7回定期総会記念講演会を東京・神田錦町の学士会館で開催した。この中で、東京農業大学大学院の上岡洋晴教授は、同氏らが独自に行った、届け出られた機能性表示食品のシステマティック・レビュー(SR)の質評価研究の結果について講演した。評価項目によっては不十分な届出があったと指摘。また、特に記載内容不十分で評価に迷った場合が多かったと述べ、今後の制度運用改善でこれらが解消され、SRの質が向上することに期待を示した。

 研究は、届け出られたレビューが正しい方法論に基づき実施されたか、得られた結果を適正に記述しているかを調べるのを目的に実施。昨年4月の制度施行から10月27日までに消費者庁が公開した118件の届出のうち、研究レビューを届け出た49編(重複など除く)を対象に、SRの質を評価するツール「AMSTARチェックリスト」11項目(11点満点)で評価。評価の結果、平均値はおおよそ6点前後だったという。一部概要ではあるが研究結果が明らかにされたのは初。

 評価項目別の評価結果を見ると、試験デザインのUMIN‐CTR(臨床試験登録システム)などへの「事前登録が行われたか」をはじめ、「包括的な文献検索がなされたか」「出版バイアスの可能性が評価されたか」「利益相反は明示されたか」「政府刊行物などデータベースには載らない灰色文献も検索されたか」などの項目について、「不十分」あるいは「かなり不十分」だったという。事前登録は届出の要件とはされていないが、上岡教授は「(レビューを)後付け的にやったのではないかという疑念を持たれないためにも登録は重要」だとしている。

 なお上岡教授は、この研究と、消費者庁が昨年度予算で実施した研究レビューの検証事業は「別の物」だと話している。検証事業では「PRISMA声明チェックリスト」に基づく検証などが行われた。

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