有害事象の把握、ネット有効 〝下痢〟を対象に検証(2016.7.21)


 インターネット調査がサプリメントの有害事象を短期間で把握するのに有用だとする、厚生労働省研究班の報告書がこのほど公表された。機能性表示食品などで健康食品の流通拡大が予想されるなか、特定成分が濃縮されたサプリ形状の安全性確保は重要な課題となっている。調査は、症状の程度、成分・原材料などの製品情報、症状を受けたときの対応などを調べており、結果、ネット調査は有害事象の未然防止、拡大防止を図るうえで有効と考えられるとした。

 同研究は「『健康食品』の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究」(研究代表者:梅垣敬三氏・医薬基盤・健康・栄養研究所)の分担研究として実施。

 調査は有害事象で最も多い下痢の症状に絞って実施。事前調査で過去1年以内にサプリ(錠剤・カプセル、粉末状で特定成分が容易に摂取できるものと定義)の利用で下痢の症状を呈し、利用サプリが「間違いなく関係している」「ほぼ関係している」と回答した人に本調査を実施した。

 本調査の対象者は1295人、うち利用した製品を把握していた人は811人だった。製品名を不明とした人が被害を経験した時期が古いという特徴はなく、また、同じ人が何度も被害を経験していた可能性があった。下痢の症状は軟便、泥状の便、水様性の便が多く、約6割が摂取中止により直ぐに改善した。一方、痛みや吐き気を伴う事例、薬を飲まなければおさまらない事例、医療機関を受診した事例も見受けられた。

 利用製品はハーブ関連に分類できるものが最も多く、中でもコレウス・フォルスコリを含む製品で、痛みを伴う下痢や医療機関を受診する下痢が多く認められた。サプリの利用目的は、健康の維持、美容・ダイエットで7割を占め、ハーブ関連の製品は美容・ダイエットが多かった。製品の摂取頻度はほぼ毎日が最も多く、摂取成分、原材料に大きな違いはなかった。利用期間は3カ月未満と比較的短いものが大部分だった。下痢を受けた際の対応は「何もしてない」が大部分だった。

 今回の調査は、ネット調査会社4社を通じ一斉に行ったが、重複回答者は28人にとどまり、複数の調査会社の利用は多くの事例を集める上で有効な方法であると考えられるとした。さらに、アレルギーや肝機能障害など重篤な事例収集にも適用が考えられるとした。

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