義務化対象「全ての加工食品」に 検討会が議論の方向性の柱据える(2016.7.28)
「容器包装された全ての加工食品を対象に義務化の議論を進めていく」。消費者庁と農林水産省共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(森光康次郎座長・お茶の水女子大学大学院教授)は26日、原料原産地表示の義務化対象を、食品表示法の適用範囲内にある容器包装された加工食品全てを対象にするという方向性の柱を据えた。今秋の中間とりまとめに向け、具体的な中身を詰めていく。
全ての加工食品を対象にすることには、食品事業者関係団体や食品事業者の委員が激しく抵抗した。だが、6月2日に閣議決定した日本再興戦略に「原料産地表示ついて全加工食品への導入に向け、実行可能な方策について検討を進める」ことが盛り込まれたことを無視できなかった。今後は、原材料が頻繁に切り替わる場合でも対応可能な方策検討や、中小零細企業への配慮といった実行可能性が焦点になる。
その打開策として挙がっているのが、原料として使用する可能性がある全ての国を列挙する可能性表示や、国産、外国産と表示する大括り表示だ。特に大括り表示は、消費者からの問合せが多い特定の国の原材料を敬遠したいという消費者のニーズに適うと前向きな意見がある。ただし、頻繁な配合変更がある場合は、たとえ大括り表示であっても実行可能性は低いとの意見もこれまでに出ている。
また、QRコードを活用し、原材料情報をインターネットで提供するという方法についても前向きな意見が多い。
いずれにしろ、具体的な中身についての議論は今後になる。このほかの論点としては、表示対象原料を重量割合上位何位までにするかなどの条件付けや、「にんにくポン酢」など商品名に原材料を掲げる冠表示の扱い、現行ルールの取扱いなどがある。
【写真=原料原産地検討会(7月26日、東京・港区)】