制度の信頼向上 自由な議論必須 弁護士が見解(2016.8.8)
日本アントシアニン研究会は第5回研究会を4日都内で開き、研究会が科学的根拠に疑義があるとして届出撤回を求めている機能性表示食品「北の国から届いたブルーベリー」(届出者・八幡物産㈱)について、研究会代理人の山口貴士弁護士が同社とのやり取りに関する経緯説明を行った。研究会は同品の届出情報について「エビデンスが不十分だということを緻密に立証していった」といい、届出制と事後チェック制が採用された機能性表示食品にとって、「ガイドラインを満たすことは必要条件であり、十分条件ではない」との考え方を示した。
八幡物産は、研究会が同品の届出情報を巡る同社とのやり取り内容を公開しないよう求める仮処分命令を、東京地裁に申し立てていた。
これについて山口弁護士は、機能性表示食品は「届出内容について自由な批判、議論をされることを前提にした制度」だとしたうえで、専門家が届出情報に対し「意見を述べたり、申し入れをしたりすることについて訴訟や仮処分を起こすのは制度自体の機能不全につながり、誰の得にもならない」と指摘。「機能性表示食品というシステム自体の信頼性が損なわれれば事業者にとっても損」だとし、機能性表示食品制度に対する消費者からの信頼性を高め、それを維持していくためには、「自由に議論させるしかない」と述べた。
また、同社が仮処分命令の申し立てを裁判所の判断が出る前に取り下げたことについて、「負けを認めたというのが一般的な考え方」だとの見解を示した。一連のやり取りにおける研究会の主張に対する同社の反論は、「ガイドラインに従って届け出ているということをひたすら強調してくる」ものだったと言う。