医療、予防への応用研究を発表 第12回ホスファチジルセリン研究会(2013.11.21)

PS研究会矢澤会長

 「健康・長寿研究談話会(旧ホスファチジルセリン研究会)」(矢澤一良会長・東京海洋大学特任教授)は11日、第12回ホスファチジルセリン研究会を、東京・品川の東京海洋大学楽水会館で開催。リン脂質に係わる国内研究者や企業の研究成果発表など5題の講演が行われた。

 近畿大学講師の財満信宏氏は、マトリックス支援レーザー離脱イオン化法―イメージングマススペクトロメトリー(MALDI―IMS)を用い、黒米や卵に含まれる脂質が、種類ごとに局在していることを解析結果から説明。またこの方法を用いた腹部大動脈瘤の血管壁の解析から、血管瘤がある場所ではトリアシルグリセロールが集積する一方、コラーゲン産生量が低下していると説明。また、EPAを含む魚油の摂取が腹部大動脈瘤の予防につながる可能性についても触れた。

 お茶の水女子大学教授の室伏きみ子氏は、環状ホスファチジン酸(cPA)の疼痛抑制作用と鎮痛薬開発について講演。cPAはオートタキシン(ATX)の生成産物であると同時に、ATX阻害剤としての活性も持つと説明。近年の研究成果などからATXを抑制することで、ガンの浸潤や転移に係わるリゾホスファチジン酸(LPA)の産生を抑制し、ガン細胞の浸潤を抑えることが動物試験などから明らかとなり、特に安定で効果が高いcPA誘導体(2カルバ環状ホスファチジン酸)について、現在医療応用に向けた研究を行っていると語った。

 また、富山大学名誉教授の浜崎智仁氏は、リン脂質型のDHAやEPAを含むクリルオイルが、心筋細胞膜において高い吸収性があることを、最近の研究成果などを使って説明した。
【写真は矢澤一良会長】

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