隠れ肥満 筋肉の質低下が原因か 順天堂大が論文(2016.8.11)


 太っていなくても生活習慣病になる人は、筋肉など骨格筋のインスリン抵抗性が低下している可能性があることを、順天堂大学の研究グループが突き止め、同大が1日、発表した。BMIが23以上25未満の正常値でも、日本人などアジア人は代謝異常が出現しやすいことが分かっており、非肥満者の生活習慣病予防を目指す上で、骨格筋インスリン抵抗性の改善が重要なことが示唆されるという。

 順天堂大学大学院医学研究科の田村好史准教授(代謝内分泌内科学)らの研究グループが突き止め、米国内分泌学会雑誌に発表した。生活習慣病に関する研究は、これまで主に肥満者を対象に行われてきたため、今回の研究成果は「我が国の予防医学を推進する上でも、極めて有益な情報」だとしている。

 研究では、非肥満者の日本人を対象に、インスリン抵抗性と代謝異常、異所性脂肪蓄積の関連性などについて調査。その結果、BMIが23以上25未満でも、高血糖、脂質異常症、高血圧といった心血管代謝リスク因子を一つでも持っていると骨格筋のインスリン抵抗性が認められ、そのレベルは、肥満でメタボリックシンドロームを合併する人と同等だった。

 また、骨格筋インスリン抵抗性に関連する因子を調べたところ、肥満者で指摘されてきた内臓脂肪が多いこと、アディポネクチン濃度が低いことに加え、体力や生活活動(運動)量が低かったり、脂肪摂取量が多かったりといった生活習慣に関連した因子も認められたという。

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