機能評価方法言及も 医師の合意を志向 森下氏が私案
(2013.11.21)
日本抗加齢医学会が産業界と連携しながら健康食品の機能性表示及び評価方法のあり方を取りまとめたい考えを、規制改革会議委員で、同学会理事の森下竜一・大阪大学大学院教授がここにきて強調している。あくまでも私案であり、また試案だともするが、機能性表示の前提となる科学的根拠には「疫学データまたは英文での臨床論文が1~2報必要」などとかなり踏み込んだ案も示している。消費者庁が取りまとめる予定の新表示制度の枠組みを踏まえつつ、医療従事者からの同意を得られる機能性表示のあり方を志向しているようだ。
森下教授による最近の講演では、「いわゆる健康食品の表示に関するイメージ(抗加齢医学会案)」と題したスライドがほぼ毎回提示される。
案の内容は、機能性表示に当たっての基本原則として、食品であることを明示し、病気治癒を示唆する表現は絶対避けるとともに、成分量、1日摂取目安量、推奨摂取時期、禁忌・注意事項などを表示しようというもの。ほかに、品質確保及び有効成分含有量の保証、安全性及び機能性の科学的根拠の評価などについて、いずれも第三者機関が確認または認定するとの案が示されている。
また、「産業界と協議のうえ方針決定」するとした上で、TPP(環太平洋経済連携協定)を考慮し、欧米で表示が認められている成分・素材は原則的にその表示を認める▽安全性データは日本語論文及び業界データでも可▽天然物に関しては成分分析で特定の製品(原料)に機能性のあることが分かれば製品別に判断。一般的な機能性であれば全ての製品に機能性を認める──などの方針が提示されている。
同学会内での検討の流れもかなり具体的に示されている。
まず、各素材・成分の機能性評価は循環器、消化器、運動器、免疫、皮膚、眼科、歯科など領域ごとに行う。どの素材・成分で評価を行うかは業界から公募する。評価に当たっては、まずは業界で論文など科学的根拠をまとめてもらい、表示したい機能性を示してもらった上で、評価領域別に学会内に設置するワーキンググループ(一領域6~7人)で議論。その後、WGでの議論結果をその上部に位置付けられる「作成委員会」でさらに検討・決定した上で各領域の関連学会に提案。そこで異論が出なければ表示しても問題ないと判断──という流れを示している。
森下教授によれば、年内にも検討を始める予定。検討には、各領域で著名な医師、学者を揃える同学会理事が中心になって当たる。また、オブザーバーとして行政にも加わってもらいたい考えだ。これにより、最終的には国の支援に基づく機能性評価ガイドラインとして来年9月までを目途にまとめ、公表したいとしている。