全加工食品対象に議論へ 原料原産地表示検討会 (2016.8.11)
消費者庁と農林水産省共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(森光康次郎座長・お茶の水女子大学大学院教授)は7月26日、原料原産地表示の義務化対象を、食品表示法の適用範囲内である、国内で製造された全ての加工食品とする方向で、今後の議論を進めていくことが大筋でまとまった。今秋の中間とりまとめに向け、実行性の確保を含め、具体的な中身を詰めていく。
検討会では、全ての加工食品を対象とすることに前向きな消費者団体や生産者団体等と、これに反対する食品事業者や業界団体等に賛否が分かれ、特に、反対姿勢の事業者や業界団体委員からは「(これまでの議論に比べ)飛躍しすぎている」「声の大きい方に進むのではなく丁寧に議論すべき」と激しく抵抗した。だが、6月2日に閣議決定した日本再興戦略のなかで「原料原産地表示について全加工食品への導入に向け、実行可能な方策について検討を進める」ことが盛り込まれたことを無視できなかった。今後は、原材料が頻繁に切り替わる場合でも義務表示が可能な方策の検討や、中小零細企業への配慮といった実行性の確保が焦点になる。
その打開策として、これまでの議論で浮上しているのが、原料として使用する可能性がある全ての国を列挙する「可能性表示」や、国産、外国産と表示する「大括り表示」となる。特に大括り表示については、消費者からの問合せが多い特定の国の原材料を敬遠したいという消費者のニーズに適うと前向きな意見がある。もっとも、頻繁な配合変更がある場合は、たとえ大括りであっても実行可能性は低いとの意見もある。
また、QRコードなどを活用し、原材料情報をインターネットで提供するという方法についても前向きな意見が多い。
いずれにしろ、具体的な中身についての議論はこれからということになる。今後の論点として同省は、表示対象原料を重量割合上位何位までにするかなどの条件付けや、「にんにくポン酢」など商品名に原材料を掲げる冠表示の扱い、現行ルールの取扱いなどを挙げている。
【写真=義務化対象範囲などを議論する7月26日の検討会(東京・港区)】