原産地表示検討 大括り表示に支持も 実行可能性の方策検討(2016.8.25)
消費者庁と農林水産省共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(森光康次郎座長・お茶の水女子大学大学院教授)は8月23日、加工食品の原料原産地表示を義務化する場合の具体策や実行可能性について検討を行った。
同検討会は前回(7月26日)の会合で、原則、国内で製造する容器包装された全ての加工食品について、原料原産地表示の義務化に向けた検討を進めていくことを確認していた。
具体的な表示方法として浮上しているのは、使用する可能性がある全ての国を列挙する「可能性表示」、国産、外国産と表示する「大括り表示」のほか、中間加工食品の「加工地表示」となる。この日は、実際にこれらの表示を行った場合の具体例や、それぞれのメリット、デメリットを消費者庁がまとめた資料が提出され、これを基に議論が行われた。
委員からは、現行制度で義務表示対象になっている22食品群などと同様に国別表示を求める声もあったが、実行可能性の観点からは全ての食品事業者が対応できるとはいえず、このため、国産を選びたいという消費者ニーズや逆に特定の国の原材料を敬遠したいとのニーズに合う大括り表示を支持する意見が多かった。また、消費者に誤認を与えない表示方法として、過去の一定期間内に使用した原産地を表示する方法も提案された。
一方、可能性表示や中間加工品の加工地表示は、消費者に誤認を与える可能性があると慎重な意見があった。
次回(9月12日)も引き続き実行可能な方策について検討する。
健康食品も対象と言及
消費者庁の赤﨑暢彦食品表示企画課長は、全ての容器包装された加工食品の原料原産地表示が義務化された場合、健康食品も対象になると言及した。健康食品も対象になるのかとの委員の問いに答えたもの。
赤﨑課長は一般の健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)など、具体名を挙げて説明。ただ、「機能性表示食品は生鮮も対象になっているが、それは除かれる」と、あくまでも食品表示法で規定する範囲内であると説明した。
【写真=会合のようす(8月23日、東京・千代田区)】