難デキにクレーム追加 「食後中性脂肪」 規格基準型トクホを拡充 (2016.8.25)


 消費者委員会の「新開発食品調査部会」が17日に開かれ、消費者庁が示した特定保健用食品(トクホ)に関する通知改正案を大筋で了承した。規格基準型トクホの関与成分として「おなかの調子」「血糖値」に対するヘルスクレームが可能な難消化性デキストリンについて、「食後の中性脂肪が気になる方の食生活改善に役立つ」旨の保健の用途を新たに追加する案などが盛り込まれている。改正通知は来月中にも発出される見通し。

 同庁食品表示企画課はこの日、トクホ申請にかかわる関連通知「審査等取扱い及び指導要領」および「申請に係る申請書作成上の留意点」の改正案を提示。後者には審査申請に必要なヒト試験について、厚生労働省などがまとめた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い試験計画書を作成すること、試験計画書は試験実施前にUMIN‐CTRなどに事前登録することなどを追記した。

 同庁は、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画のほか、消費者委が今年4月に取りまとめた、健康食品の表示適正化に向けた対応策およびトクホの制度・運用見直しに関する「建議」を受け、規格基準型トクホの範囲拡大などを検討していた。

 規格基準型トクホの関与成分の拡充は今回、規格基準型として実績のある難デキのみとなる見通しだが、同庁は追加候補成分として、キトサン(保健の用途=コレステロール)、EPA・DHA(同=脂肪)、L‐アラビノース(同=血糖値)も挙げている。具体的な時期は示していないものの、「規格基準型としてふさわしいと判断されれば、成分規格の検討に入る」(食品表示企画課)という。

 規格基準型トクホの関与成分とするための要件の見直し案も示し、追加を決めた難デキをはじめ追加候補の4成分はこれに基づき選定した。見直し案では、「保健の用途ごとに分類したグループにおける許可件数が100件を超えていること」などといった従来要件を示すとともに、規格基準型とする妥当性を検討するにあたっては、成分規格などについて学識経験者から意見を聞くことなどを明文化して盛り込んだ。

 この要件に基づき同庁がスクリーニングした結果、GABAや酢酸、マルチトールなど9成分も規格基準型の追加候補となり得る可能性があったが、「過去5年間に許可がない」ことを理由に追加を見送った。ただ同庁は、業界などにヒアリングを行い、要望があれば今後改めて検討するという。

 規格基準型とする要件について同部会の石見佳子委員(国立栄研)は、「作用機序についても考える必要がある」などと指摘。「腸管内を作用点とする場合は安全性にさほど問題はないと考えられるが、DHA・EPAなど腸管内で吸収されてから生体内で作用するものは、慎重に検討していくべきだ」と意見を述べた。

 規格基準型トクホは、トクホとして許可実績が十分あるなど、科学的根拠が蓄積された関与成分について規格基準を定め、その適合性を審査することで、食品安全委員会などの個別審査を経ずとも表示許可を受けられるようにしたもの。関与成分としてはこれまでに、難デキやフラクトオリゴ糖など9成分が設定されていた。

許可要件 再び見直し
 消費者庁が17日に示したトクホ申請にかかわる二つの「通知改正案」。このうち、「審査等取扱い及び指導要領」の改正案では、トクホの許可要件が見直され、昨年12月24日の通知改正で削除されていた「食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるもの」が改めて盛り込まれた。消費者委員会の強い反発を受け、復活させた格好だ。

 この要件は、もともと同通知で許可要件の冒頭に掲げられていた一方で、消費者委がトクホ不許可を判断したノンアルコールビールについて、同庁が判断を覆して許可した際に焦点となった要件でもある。

 昨年12月の通知改正で削除されたのは、トクホの並行審査方式の導入などが提言された規制改革実施計画の中で、許可要件の明確化も求められていたためだ。同庁は、当該要件はトクホ制度の根拠法である健康増進法の趣旨と重なることからこれを削除、代わりに「ビール等のアルコール飲料や、ナトリウム、糖分等を過剰摂取させることとなるものではないもの」を加えた。しかし、この変更に新開発食品調査部会や調査会のほぼ全員の委員が納得せず、同要件の復活を求めていた。

 同庁は今回示した通知改正案で、同要件を復活させるとともに、許可要件8項目の前提条件として設定。調査部会の委員はこの日の会合で、「現行のものと比べ、とても良くなっている」と評価した。

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