機能性表示 検証事業結果 都民も知る 「機能性関与成分が肝」 「食の安全」フォーラム(2016.9.22)
機能性表示食品をテーマにした「食の安全 都民フォーラム」(主催・東京都)が16日、都庁で開かれ、消費者庁食品表示企画課の調査官が基調講演を行い、聴講した都民などに対し、同庁が昨年度実施した、機能性表示食品制度に関する検証事業の結果などを伝えた。
調査官は、昨年9月30日までに届け出られた146件を対象にした「機能性関与成分に関する検証事業」について、「全体で『不適』とされたものは68件あった」と結果を紹介。重複もあるがこの68件について同庁は製品名を公表していないものの、各届出者に対し、分析方法に関する追加情報などを必要に応じて登録するよう「指導している」と説明した。
また同検証事業の一環として実施した、146件中17件を対象にした買上調査概要も説明し、「良いと言える結果は出なかった」と結果を低く評価。機能性関与成分が表示値を下回っていた、逆に過剰に含まれていた、同一製品にもかかわらずロット間でのばらつきが大きかったといった調査結果を伝えた。
結果を踏まえ、「機能性関与成分がこの制度の肝。製品の信頼性にもつながる。ここがダメだと表示している内容が実現できない。機能性表示食品を購入して試したいという方は当然いらっしゃるだろうが、そこが信用できなければ『買いません』というのは当然のことだと思う」との見解を述べた。
聴講者の中には食品関連事業者もいた。そのためか調査官は、同庁が公表している制度上認められない表示例(不適切な表示例)を示し、「届出(表示)の内容が的確かどうかを確認している。こうした(不適切な)表示は当然、届出を受理できない」などと述べ、事業者に対し、届出表示に限らず、公表資料を届出前に確認するように求めた。そのようにした方が「届出の確認がスムーズにいく」とも述べた。届出書類の「確認」に手間取っている現状に理解を求めたといえそうだ。
「そこそこ効く」正しい利用促す
調査官はこの日、機能性表示食品制度の概要を説明した上で、「機能性表示食品を使う前にぜひ消費者庁の届出データベースで自ら確認して欲しい」と呼びかけた。実際にデータベースを見たことがあるかを聴講者に尋ねて挙手を求めたが、手を挙げたのは若干名だった。
また、消費者から特定保健用食品や機能性表示食品は「効く」のかどうかの問い合わせが多く寄せられていると紹介したうえで、「正直に申し上げると、『そこそこ効きます』という感じ。効かないとは申し上げないが、そこまで劇的に効くものではない」と率直に語った。
調査官は、「病院に罹られている方が、特定保健用食品や機能性表示食品を摂ることで、医者に罹らなくなるのは非常にまずい。まずは医者に罹ること」と注意を促しつつ、「医者に罹る必要のない健康な方で、病気一歩手前のような方は、三食バランスの良い食事や運動などを心掛けたうえで、使うのが一番良いかと思われる」と述べ、消費者に機能性表示食品などの正しい利用を促した。
【写真=消費者庁 事業結果を都民に説明(9月16日、東京・都庁)】