関与成分量が規格値を満たさない疑義などが判明したのを受け、日本サプリメント㈱が販売していた特定保健用食品(トクホ)の許可を消費者庁が取り消した問題の波紋が、業界に大きく広がりつつある。
消費者庁は27日、日本健康・栄養食品協会に対して「長官通知」を発出。再発防止策の一環として、トクホ中の関与成分が適切に含有されているかどうかに関する自主調査の実施を、全てのトクホ申請企業に求めるよう依頼した。
調査対象は、販売休止中の商品も相当数存在すると見られるものの、現在までに許可された1200品目を超える全てのトクホ商品。
同庁はこの調査で、2014年4月14日以降実施の「最新の分析結果」と「最新の表示見本」の提出も要求。報告期限は1カ月後の10月26日に設定した。調査結果は日健栄協が取りまとめて報告するため、実質的な調査期間は20日間にも満たない見通し。トクホ申請企業からは悲鳴の声も上がる。
また同庁は、この自主調査結果を踏まえ、トクホの買い上げ調査も実施する方針だ。具体的な調査方法は検討中だが、岡村和美長官は28日に行った記者会見で、「いろいろな不適切状態があると思われ、緊急度の高いものからやりたい」などと説明。また、会見に同席した食品表示企画課の担当官は、自主調査で「登録試験機関による分析結果ではなく、自社分析結果を出してくるところがあれば、そちらを優先的に買い上げの対象にするなど、チェクを厳しめにしたい」などと述べた。
日健栄協の下田智久理事長は27日、日本通信販売協会と共催したイベントに登壇し、今回のトクホ許可取り消しは「健康食品全体の信頼を揺るがしかねない」と述べ、影響が業界全体に及ぶ可能性に危機感を示した。