機能性表示食品 エキス等 制度対象へ 検討会が大筋合意 (2016.10.20)
現行の機能性表示食品制度では対象外とされている機能性関与成分が明確でない食品のうち、機能性の科学的根拠が得られたエキス(抽出物)等については今後、条件付きで制度対象に追加される方向となった。届出ガイドラインの改正が必要になる。同等性を確保するための指標成分が複数設定できることなど種々の条件が附帯される見通し。これまで以上に厳格な品質管理も要求される。
今年1月から議論を進めてきた「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」(座長=寺本民生・帝京大学臨床研究センター長)の追加会合(第10回)が18日にあり、機能性関与成分が明確でない食品の取り扱いを巡るこれまでの議論を基に消費者庁がまとめ、前回会合で提示していた要件案(取扱い案)が、大筋で了承された。
この日の会合では、大きく7項目の要件案のうち、前回会合で意見が多く上がった「国の関与について」を中心に議論。消費者庁による事後チェックの仕組みの更なる充実を伴う「体制整備」と、その確実な実行を事実上の前提条件とすることで、エキス等の制度対象化に向けた大筋合意を得た。
この体制整備については複数の委員から、健康食品産業協議会など事業者団体の協力が必要不可欠だとする意見が上がっている。届出を円滑に進めるため、まずは業界で届出書類の「事前チェック」を行うべきだとする意見も出た。座長も、「それをさらに消費者庁が(事後)チェックする2段構え」の体制整備が望ましいとした。
一方、同じく制度対象外とされているビタミン・ミネラルについては、現行のまま機能性関与成分の対象には加えない方向で委員の意見がまとまった。同庁はこの日、ビタミン・ミネラルの取扱い案を示し、「健康・栄養政策との整合性を図りつつ、まずは栄養機能食品制度において、別途検討すべき」との考えを示し、委員が合意した。
ただ、取扱い案では、健康食品産業協議会が提案していた、ビタミン・ミネラルを制度対象に追加しない枠組みにおける機能性表示食品と栄養機能食品の「ダブル表示」に関しては、将来的な実現可能性を残した。今後、栄養機能食品制度について検討を進める中で、この表示方法が実現可能かどうかを探っていくものとみられる。いずれにしても、消費者の誤認、栄養機能表示食品制度との整合性などの課題を、解決できる道筋を見出す必要がある。
同庁は今後、前回、今回の会合で委員から寄せられた意見などを踏まえながら、報告書案のとりまとめを行う。これを最終回となる次回検討会に諮り、検討会で報告書をとりまとめる。ただ、現在のところ次回検討会の開催日時は未定。報告書案をとりまとめるには少なくとも1カ月は必要と考えられ、場合によっては12月に開催がずれ込む可能性もありそうだ。
その後、同庁は届出ガイドライン(GL)の改正作業に入る見通しだが、策定までには時間が掛かる可能性がある。新たなGLの策定には慎重を期すよう委員が求めているほか、エキス等を機能性関与成分とする届出をモデルケース的に実施し、その結果を新GLに反映するよう要求する意見も出ている。
この日の検討会は、2時間の予定がおよそ1時間で終了した。また、全17名の委員のうち4名が欠席。前回会合で機能性関与成分が明確でない食品の制度対象化そのものに強く反対した、東京大学大学院教授の佐々木敏委員も姿を見せなかった。