機能性表示食品 消費者庁 買上調査を強化(2016.10.20)
消費者庁は18日、機能性表示食品の買上調査を今年度も実施する考えを明らかにした。同庁は昨年度、市販の機能性表示食品中の機能性関与成分の含有量を分析し、表示値の妥当性などを評価する買上調査を行ったが、件数は17品目にとどまっていた。今年度は「大幅に増やして実施する予定だ」という。
同日開催された「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の中で、同庁食品表示企画課長が明らかにした。買上調査のほか、今年度は最終商品の臨床試験や安全性に関する検証事業を行うとしている。
同庁は昨年度、機能性表示食品の届出後調査(事後チェック)の一環として、届け出られた研究レビューの質、同じく届け出られた機能性関与成分の分析法についても検証していた。同庁によると、検証結果には届出情報が不十分なものもあり、これらの届出者には追加資料の提出を求めている。
エキス追加、体制整備が条件
この日の検討会で食品表示企画課長は、機能性関与成分が明確でない食品(エキス等)の取扱いをめぐり焦点となっていた、「体制の整備」に関する現状と今後の対応について説明した。今年度の検証事業計画はその中で明かし、今年度に立ち上げたセカンドオピニオン事業や、都道府県など142カ所と連携・執行している食品表示の監視業務なども合わせ、事後調査の仕組みをさらに充実させていく方針を示した。
この日の検討会で委員の意見がまとまった、エキス等の条件付き制度対象化は、事後チェック体制の整備が大前提。食品表示企画課課長がこうした方針を示さない限り、委員の合意は得られなかったものとみられる。
体制の整備を求められたのは消費者庁だけではない。業界も同様だ。
「消費者庁と業界の双方が、事後チェック体制をしっかり整備することを、報告書に明記する必要がある」。消費者問題研究所長の田口義明委員はこう述べ、エキス等の追加はそれが前提だと述べた。
また、「業界団体による事前チェックが大事。それがあれば消費者庁もトラブルが少なくなる。報告書には、(事前チェックを業界に)依頼するとかの文章を盛り込んでもらいたい」と要求したのは、エキス等の制度対象化に向けた議論をけん引してきた合田幸広委員。寺本民生座長も、それをさらに消費者庁がチェックする「2段構え」体制の構築を要望した。
さらに、体制整備に関わる費用について「利益を得ている事業者が相応の負担をするべきではないか」(日本栄養士会専務理事・迫和子委員)との意見まで出ている。
こうした意見に対し、健康食品産業協議会会長の関口洋一委員は、「(エキス等の制度対象化に伴い改正される)ガイドラインの作成、事前・事後チェックも含め、私どもも遺漏なきようにする。分析方法の開示、ブラッシュアップにも取り組んでいきたい。GMPの推進にも取り組み、この制度が国民に役立ち、信頼されるようにしたい」などと述べ、同庁との連携した体制整備に意欲を示した。