PQQで届出支援開始 MGC 認識能力を表示へ(2016.10.20)
脳機能改善やミトコンドリア再生作用といった機能が注目され、数年前から米ダイエタリーサプリメント市場で最終商品化が進んでいる、コエンザイムQ10と同じ補酵素の一種、「PQQ(ピロロキノリンキノンニナトリウム塩)」について、原料供給している三菱ガス化学㈱(=MGC、東京都千代田区)がこのほど、機能性表示食品の届出支援を行える体制を整えた。
SRを事前登録
PQQは、2013年の食薬区分改正で、「非医薬」リストに収載された新規機能性成分。区分改正以前から、米国での活発な動きが伝えられていたこともあり、日本でも一部で注目されていた。区分改正以降は、販売大手のDHCが脳機能に着目した配合サプリメントをすぐさま市場投入したこともあり、「大型素材化」に期待する声も一部に出ている。
MGCは今後、自社工場(新潟県)で製造する「BioPQQ」(登録商標)について、近く本格展開を始める機能性表示食品の届出支援を通じ、脳機能分野に対応できる機能性表示対応素材として、国内市場の底上げを図る構え。届出支援では、ユーザー各社に対し、機能性や安全性に関する届出書類一式を提供していく。
MGC天然ガス系化学品カンパニー ライフサイエンス部によると、同社製PQQを機能性関与成分にした機能性表示食品では、「認識能力」をはじめ「即時記憶」や「注意力」などといった認知機能にかかわる表現を盛り込んだ機能性表示を行うことが想定される。また、機能性の科学的根拠については、「研究レビューではなくシステマティック・レビュー(SR)を行った」といい、あくまでも学術的なものだと強調。さらに、専門の第三者機関に委託して実施、さらに、SRに関する国際的な事前登録システム「PROSPERO」に登録したうえで行われていることもあり、質の高いレビューの提供に自信を見せている。
このSRでは、最終的に3報の臨床試験論文が採用された。いずれも同社製PQQを使用したもの。一方、安全性に関しては、人が対象の6カ月長期摂取試験、1日摂取目安量の5倍に当たる100㍉㌘での過剰摂取試験をはじめ、細胞試験や動物試験で課題のないことを確認しており、届出支援では、こうした各種データをまとめて安全性の科学的根拠資料として提供していくという。
GRAS取得で一般食品にも
PQQは、日本の理化学研究所が03年、14番目のビタミンの可能性があるとして科学誌「ネイチャー」に発表したことで、世界的に注目を集めた経緯がある。現在までにビタミンであることは確定されていないが、MGCは「いずれにしても重要な栄養素である可能性が高い」と見ている。
MGCは80年代後半から研究用試薬としてPQQを製造販売していた。そうした中で08年、同社製PQQについて米FDAが安全性を評価し、「NDI」(新規ダイエタリー素材)として承認。これを受けサプリメント用素材としてはまず、米国から販売が始まった。
これまでにジャロウ・フォーミュラーズ、ライフ・エクステンション、ナウ・フーズ、ドクターズ・ベストなど大手ブランドにも採用されており、MGCによると、米国では年間数10%の割合で販売量が伸張している。
また、PQQは中国でも製造している企業が複数あるが、NDIに登録されているのは現在、同社製のみだという。
MGCは今後、「BioPQQ」で米国のGRAS(一般的に安全と認められる物質)認証を取得する計画。これにより、米国で通常の加工食品にも配合できるようになるが、日本でも、機能性表示食品に関する引き合いはサプリメント以外でも多いという。同認証を取得することで、広範な食品に配合できる環境を整える考えだ。