JADA、ドームに反論(2016.11.10)
「DNS」ブランドのスポーツサプリメントの販売で知られる㈱ドームが、公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が運営する食品など商品認定プログラムの取得を取り止めたことに関連し、JADAの浅川伸事務局長らがこのほど本紙の取材に応じ、コスト負担の大幅増などドームが主張した取得取り止め理由に反論した。
JADA認定商品の資格を得るには、これまでJADA指定の第三者試験機関による最終商品の分析と、「認定権利行使料金」の支払いが要件となっており、権利行使料金にはJADAに対するサポート料金(スポンサー料金)もセットになっていた。つまり商品認定取得にはスポンサー料金の支払いが必要という形だった。
しかし、JADAは取材に来年度から権利行使料とスポンサー料を分離する方針を明らかにし、商品分析料と権利行使料のみで認定を受けられるようプログラムを改訂すると話した。また、分析料は1商品当たり「数十万円程度」であり、権利行使料は「非公開」としつつも、「以前から変わっておらず、負担額もそれほど大きなものではない」とドームの主張に反論した。
ただ、権利行使料、スポンサー料とも申し込みなどの手続きは、引き続き広告代理店を通じて運営するといい、スポンサー料の支払いについては「あくまで任意だ」と話した。ドームではプログラム取り止めの理由として、「第三者の関与による閉鎖的運営」も挙げていた。
一方で、JADAは2015年から、認定商品の製造工場について、米FDAがダイエタリーサプリメントに関して定めたcGMPに準拠していることを認定条件に追加しており、実際は、①製造工場のcGMP準拠②最終商品分析(分析料金の支払い)③認定権利行使料金の支払い──が商品認定取得の前提条件になる。
cGMP準拠の事実上の義務付けをめぐっては、ドームも「日本の(健康食品)GMPで十分であり、米国の法規制をそのまま日本で条件にするのはどうか」と疑問を投げかけるが、JADAは取材に「アンチ・ドーピングの観点からcGMP準拠は必須」と強調。ただ、cGMP準拠で求められる要件のどの部分が、アンチ・ドーピングの観点から必須なのかついては具体的に語らなかった。
日本にFDAcGMP準拠工場はまだ少ない。FDAcGMPと同等とされる米NSFインターナショナルによるNSF GMP登録工場は現在12社15工場に過ぎず、仮にJADAがNSF GMP登録工場での製造を認定条件にしているのだとすれば、独占禁止法に触れる可能性も無視できなくはなさそうだ。
また、ドームはプログラム取り止めの理由として、JADAによる「分析結果の開示拒否」、そもそも「『世界アンチ・ドーピング機構はサプリメント認証プログラムを有していない』という国際的な基準と異なる動き」も挙げていた。
こうした主張に対してJADAは、分析結果の非開示について「どの項目で検査したかを開示すれば、ドーピングに悪用されるおそれがある」と反論。分析結果を開示しなければ適切な分析が行われたかどうかの検証も不可能と考えられるが、分析委託している公益財団法人 日本分析センターの「能力にも問題はない」とした。
一方、「国際的な基準と異なる動き」という指摘に対しては、海外の先進国ではオランダのアンチ・ドーピング機関が、ヒト検体の検査とサプリメントなど食品関係の認定事業の両方を行っていると説明した。
JADAでは今後もスポーツサプリメントなど食品分野の商品認定事業に取り組んでいくという。ただ、「われわれの立場で言うことではない」と断ったうえで、「厚生労働省などが認定を行ってもよいのではないか」などと話した。