原産地表示 来年に基準改正で決着 「国別重量順表示」を義務付け(2016.11.10)
消費者庁と農林水産省の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(座長・森光康次郎お茶の水大学大学院教授)が11月2日に開かれ、中間取りまとめを行った。
全ての加工食品を対象に原則「国別重量順表示」を義務付け、例外として①「可能性表示」②「大括り表示」③「大括り+可能性表示」――表示方法を設定する。また、中間加工原材料は「製造地表示」をさせる。
最後の議論となった当日の会合では、市川まりこ委員(食のコミュニケーション円卓会議代表)が改めて反対を表明し、対案を提示した。
対案は可能性表示と製造地表示を設定しないというもので、国別重量順順位と大括り表示のみとし、それ以外は「不特定」と表示する。市川委員は反対の理由として、「案は事業者に配慮し過ぎ。消費者に分かりやすい表示を第一に考えるべき」と述べた。
また、日本チェーンストア協会の櫟友彦委員も反対を表明。「実際にスーパーに来られる高齢者のお客様のことを考えて欲しい。この案では分かりにくい」とした。
しかし、他のほとんどの委員は、中間とりまとめ案に賛成を示し、富松徹委員(味の素)が「基本的に今でも全ての加工食品に表示を義務付けることに反対している。だが、それが前提である以上、事業者の実現可能性を考慮したこの案に賛成する」と述べたことで、議論の大勢が決まった。
消費者庁と農水省は、議論の過程で誤認の可能性が多く指摘されたことから、関連団体などを通じた消費者への普及啓発活動、行政による監視などを中間まとめに盛り込んだ。また、「事業者においても原則である国別重量順表示での対応を期待する」との一文も付け加えた。
今回の中間とりまとめを受け、消費者庁では、パブリックコメント受け付け、食品安全委員会への報告などを行った後、直ちに食品表示基準の改定作業に着手する方針。ただ、事業者の準備状況に配慮して、経過措置を導入する考え。新食品表示基準の施行は、政府全体の具体的なTPP対応をにらみながら、来年度以降となる見込みだ。