国民健康・栄養調査 厚労省 栄養成分表示状況と年次推移で初の調査(2016.11.24)
厚生労働省は14日、2015年の「国民健康・栄養調査」結果を公表した。今回の調査で初めて、栄養成分表示に関する消費者意識をまとめたほか、栄養素摂取の年次推移も公表した。同省では国民の健康意識の高まりを背景に、状況に即した調査内容の充実と同調査をベースにした施策の展開を急ぐ考えだ。
国民の健康意識の高まり、機能性表示食品制度の導入などを背景に、今回の調査では初めて、栄養成分表示に関する意識調査を行った。「同種の調査としては今回が初の試み」(同省健康課栄養指導室)という。
それによると、調査を実施した3507世帯のうち、食品購入時に栄養成分表示を参考(時々参考も含む)にしていると回答した人は、男性が26%だったのに対し、女性は53%に上った。
食品購入時に表示が必要と思う栄養成分は、女性がエネルギー(カロリー)、男性は「特にない」がトップで、男性は栄養成分の大部分で関心度が女性に比べて半分近く低い結果となっている。
女性で関心が高い栄養成分は、食物繊維、ビタミン・ミネラル類、脂質、糖類、ナトリウムなど。男性はビタミン・ミネラル類、食物繊維、糖類、たんぱく質などで、ナトリウム、コレステロールは10%台の低さだった。
栄養成分表示に関心が低い年齢層は、男女とも20歳~29歳だが、それでも女性は44%と男性の倍近い高さ。30歳以上の女性の各年齢層では、60%台の関心の高さとなっている。
今回の調査では、栄養素摂取量の年次推移も初めて公表された。
期間は現在の栄養関係も含む調査形式となった1995年から昨年までの10年間で、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、カルシウム、食物繊維、カリウムの各状況をまとめている。
このうち脂質と食物繊維を除いて栄養素の摂取量は、1995年以降おおむね減少傾向にあるが、2015年は下げ止まり、もしくは増加に転じている。女性は炭水化物以外は、脂質も含めて増加している。特にカルシウムとカリウムが顕著に増加している。男性は脂質で顕著な増加が見られた。
ただし、厚労省では「複数年を見なければ判断できない」(同)としており、ここ10年の減少トレンドが変化したかは、今後の調査結果によるとしている。
朝食の欠食率は、男性14.3%、女性10%で、年齢別では男性が30歳代(25.6%)、女性は20歳代(25.3%)が最も高かった。