高齢者の栄養特性と課題など検討 配食事業の栄養管理の在り方(2016.12.5)
地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方を検討している厚生労働省の有識者懇談会は2日、内容を深化した話し合いを重ねたほか、事業者向けガイドライン骨子案について検討した。
東京都健康長寿医療センター研究所副所長の新開省二構成員は、取りまとめた「地域在住高齢者における栄養の特性と課題」を報告。高齢者は、年齢階級が高いほど低栄養傾向者の割合が高くなり、多くの栄養素や食品群の摂取量が低下することや、低栄養では三大疾病での死亡率が高まると説明。咀嚼率低下は食品・栄養摂取の低下に繋がるため、口腔機能維持や食べやすい形態での食事提供の必要性などを示した。
また、配食事業者向けガイドラインには、身体状況や口腔機能、共食の有無などを項目としたアセスメントの必要性を提言した。
ガイドライン骨子案では、献立作成やコントロール・嚥下調整食への対応、注文時のアセスメント、事業者が行う事項としてフォローアップ対応等の記録、利用者への情報提供などが盛り込まれた。
質疑応答では、新開構成員の報告書に同意する意見のなかで、「高齢者では生鮮食品が摂取されていない実態が少なからず見られるが、一方で地域のデイサービスを利用して摂取栄養量を増やしているケースも多い。このように、配食サービスが栄養支援に寄与できることを期待している」という発言があった。
次回懇談会は来年2月8日に開催。今回議論した内容により作成した報告書案、ガイドライン案について検討する予定。