トクホ、制度改正へ 外部定期分析を義務化(2016.12.8)
消費者庁が特定保健用食品(トクホ)の制度改正を行う。初の許可取消し処分に至った「関与成分」問題を受け、再発防止には制度に手を付ける必要があると判断。販売中のトクホについて、第三者機関による関与成分量の定期分析を法的に義務付けるなど、許可後の事後チェック体制を強化する。事業者負担がさらに増すのは必至だ。
現行制度では、外部機関による関与成分量の定期分析、その結果の消費者庁への報告は義務づけられていないが、「消費者庁次長通知」(特定保健用食品の表示許可等について)を改正することで事実上義務化する方向だ。同庁は年に1回程度の分析を義務づけたい考えを示している。
また、有効性や安全性に関わる「新たな科学的知見」を入手した場合も、同庁への報告を法的に義務づける。以前から「許可の条件」として要求していたものの、法的強制力はなかった。トクホを規定する健康増進法の内閣府令を改正することで義務化する。
同庁は5日までに府令の改正案をまとめて公表、同日からパブリック・コメント(意見募集)を開始した。来年1月4日まで意見を募り、2月上旬にも施行する予定。関与成分問題を重く受け止めているとみられ、新年度を待たずに再発防止策を実効に移す構えだ。関係する消費者委員会との折衝も行わないまま意見募集に踏み切る異例の事態ともなった。
再発防止のため、定期的な買上げ調査も実施する。もともと来年度からの実施が予定されていたが、前倒して今年度から始める。買い上げ対象は、先ごろ同庁が実施したトクホ関与成分調査で許可取得企業から提出された分析結果について、「試験時期が古い品目」と「自社分析品目」の二つとなる見通し。まずは10品目程度から手を付ける計画だ。
そのほか、販売の有無に関する定期調査も行う方針。関与成分調査の結果、現在販売されているトクホは、表示許可取得1271品目のうち366品目にとどまる実態が改めて明らかになっていた。同庁は、失効予定品目に関し、来年3月31日までに失効届出を提出するよう求めており、消費者には今後、販売状況も含めて最新の情報を提供していきたい考えだ。
同庁は、日本サプリメント㈱が販売していたトクホの関与成分問題で明らかになった「課題」について、許可条件どおりの製品が販売されているか把握できていない▽許可後に販売の状況を正確に把握できていない▽新たな科学的知見の報告が法的に明確化されていない──といった3つの問題意識を示す。これらに対応するため制度改正にまで乗り出すことになった。
外部機関による定期分析を義務化することで、同様の問題は未然に防止できると考えられる。ただ、対応策は、実質的に関与成分のみに焦点を当てたもの。品質管理に関わる別の問題に対応できるかどうかは未知数といえそうだ。