インアゴーラ 中国タオバオと提携 ネットで〝爆買い〟可能に(2016.12.8)
日本商品の中国向け越境ECを運営するインアゴーラ(東京都港区)は11月29日、中国最大の個人ECサイト、タオバオグローバルと業務提携したと発表した。中国人観光客の爆買いが注目を集めているが、両社は中国にいながらインターネットで日本商品を簡易に爆買いできるサービスを提供していく。
タオバオグローバルは、中国最大のEC運営会社であるアリババグループのCtoCネットショッピングモールの運営会社で、同サイトに出店する個人ショップ数は約10万店、ユーザーは約4億人、流通総額は数十兆円に達するといわれている。
しかし、同サイトは個人取引の形態のため、いわゆる偽物商品が出回る確率も高いとされ、中国政府は多くの個人取引運営サイトに対して、CtoCからBtoCに変えるよう指導しているといわれる。
一方、アパレルやヘルスケア・健康関連商品などの日用品は、中国ではテレビや雑誌を使ったピーアールでは効果がないとされ、KOL(キーオピニオンリーダー)と呼ばれるSNSブロガー(数十万~数百万人のフォロワーを持つ)による宣伝、口コミの影響力が大きいといわれる。
CtoCサイトの個人ショップ(KOLも多くが出店)は、個人が主体であり、正規に日本商品を仕入れる手段・ルートを持っていないため、KOLの影響、口コミと合わせて、日本での爆買いの要因にもなっている。爆買いは、こうした個人ショップと契約した代行者(代行業者)による、個人資格での大量買い付けが大部分といわれている。
今回の提携により、インアゴーラとタオバオは、日本商品のブランド・品質を保証すると同時に、受発注や在庫管理業務を代行することで、中国の個人ショップ出店者(KOL)が、大きなリスクを負わずに日本商品を購入、個人取引できるようにする。
日本企業側は商品をインアゴーラの倉庫に配送するだけでよく、サイト内の中国語翻訳や物流、決済、顧客対応、マーケティングなどは、インアゴーラとタオバオがサポートする。
今回の提携に際して、インアゴーラでは、米国WiL社を引き受け先とする約23億円の第三者割当増資を実施しており、社員の大幅増員などを行う。同社の第三者割当増資は今年に入って3回目で、合計47億円となる。
同社の翁社長は、「今回の提携で日本商品を毛細血管のように中国の消費者に行き渡らせるシステムを作ることができた」と述べ、日本商品の中国での市場開拓により一層力を入れるとしている。