農水省 生鮮品の届出を後押し 分析・評価法の規格化で(2016.12.8)
農林水産省は農産物の国際競争力強化を図るため、来年の通常国会にJAS法(農林物資規格化法)改正案を提出する方針を固めた。従来の品質確保に加えて、新たに特長をアピールできるよう、法律の目的に追加する。機能性表示食品制度の届出を支援するため、分析方法の規格化なども盛り込む考えだ。
JAS法は、1999年の全食品へのJASマーク表示義務付け、2009年の産地偽装の直罰化の二度にわたり改正されており、昨年4月には食品表示法の施行に伴い、食品表示に関する規定部分が同法に移管されている。
JAS法は品質確保のための規格制度だが、農水省では、TPPなど自由貿易市場をにらんだ国産農産物の競争力強化のため、新たに生産方法、分析評価方法、管理方式などの規格化を実施する方針。このためJAS法の目的規定を見直す改正案を次期通常国会に提出する考えだ。見直しの基本的方向は、10月の食料・農業・農村政策審議会食料産業部会で決まっている。
生産方法の規格化は、例えば、日本特有の飲料である抹茶の製法を規格化することで、類似品との差別化を図る。管理方式については、常温保管・輸送の方法を規格化し、これに準拠する事業者を認証する。
ポイントとなるのは、分析・評価手法の規格化で、農産物の成分やDNAなどの分析・評価方法を規格化することで、優位性を客観的に証明できるようにする。例えばホウレンソウの場合、糖度やルテイン含有量の度合いを規格数値化することで、品質の高さをアピールすることに役立てる。分析・評価方法を規格化することで、農産物の機能性表示食品化へのサポートに繋げていく。
また、従来の品質確保の部分でもグルテンフリーなど特定原材料の不使用なども表示できるようにする。
具体的な規格化の案は、改正案成立後にJAS調査会(農林物資規格調査会)で検討する予定。規格化する品目、分析方法、保管・輸送方式などを選定していく。JASマーク表示方法などは、消費者庁など関係省庁と調整していく方針だ。
法案提出は来年3月頃になると思われ、成立は5月頃、新規格の導入は、それから早くても1年後になる見通しだ。