ASCON 独自届出評価 第2弾公表 (2016.12.22)


 機能性表示食品の届出情報を独自基準で評価している市民団体「消費者市民社会をつくる会」(ASCON、阿南久代表理事)は17日付で、届出番号A81からA170まで90件の届出評価結果をホームページで公表した。結果公表の第2弾で、評価を行うASCON科学者委員会は今回も「見解不一致」判定を複数の届出に出した。ただ、その理由の大半が、「未成年」を巡る届出者と科学者委の間の見解の相違。日本の民法を根拠に18歳、19歳が被験者に含まれる論文は届出から削除すべきと主張する同委に対し、「科学的ではない」などと疑問視する見方がさらに強まっている。

 届出番号「A1」から「A80」までの第1弾評価結果は今年5月に公表しており、この際も、未成年の解釈を巡る「見解不一致」評価を複数出していた。評価については今回も、「届出書類が消費者庁ガイドラインに沿ったものであるのか、根拠とする論文がどの程度の数があるのかを中心」(ASCON)に行ったという。

 評価結果はAからCまでの3段階。ただ、科学者委による独自基準に適合せず、届出者との意見交換でも合意に達しない場合は、「見解不一致」と評価される。事実上のD判定といえ、届出者としては極めて不名誉な判定だが、今回の結果公表でそう判定された届出は8件。うち7件で、未成年の解釈を巡る意見の相違が理由にされていた。

 今回そのように評価された届出者は、科学者委との意見交換の中で、「ガイドラインにおいて未成年の定義が明確ではない」と説明。評価内容は「ガイドラインに沿ったもの」であるかどうかだとするASCONの言い分と矛盾する。

 また届出者は、「国際的には18 歳以上を成人としている国が圧倒的に多い」、「栄養学的な成人基準としては18歳以上を成人と捉えている」などとして、食品機能を科学的に検証する場合においては18歳以上を成人と見なすことの妥当性を解説。しかし科学者委は、「民法上の規程による未成年を含む臨床論文は除外すべき」とだけ説明して届出者の意見をはねつけた。

 機能性表示食品の届出に多く携わっている業界関係者は、「年齢の考察は生理学的な妥当性をもって解釈されるべき。特に機能性の検証においては、科学的解釈が法的解釈より優先されるべきだ」と科学者委の主張に疑問を呈す。

 実際、法的解釈を優先すると、日本国籍を持つ外国人を日本人と見なす解釈が不可能とはいえず、そうした「日本人」を被験者にした文献を科学的根拠とすれば、ガイドラインで求められている「日本人への外挿性を考慮」せずとも届け出られることになる。単なる屁理屈だが、未成年に関する科学者委の主張はそれに近いものとも言えそうだ。

 ASCONは今年9月、業界関係者などと科学者の「意見交換会」を開催しており、この際も事業者から未成年の解釈について「科学的根拠の網羅性を重視し、18歳、19歳の被験者が一部含まれる論文も採用すべき」などと指摘されていた。また、ASCONとの関係が浅くない東京大学名誉教授の唐木英明氏も、意見交換会の中で、「科学的に考えれば、20歳で切るなどと馬鹿な話はない」との見解を語り、科学者委の関係者も、同氏の見解に同意する考えを述べていた。

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