機能性表示、施行3年目 エキスなど追加でGL改正へ(2017.1.12)
機能性表示食品は今年4月、制度施行3年目を迎える。制度検討時の検討会報告書では「施行後2年を目途に施行状況を検討し、必要な措置を講ずることを期待する」とされていたがその前に、昨年4月に続く2度目のガイドライン(GL)改正が行われることになる。現行制度では対象外とされている糖類・糖質をはじめ、機能性関与成分が明確でない食品のうち、特定成分で機能性が部分的に説明できる植物エキス・分泌物を制度対象に加えるための改正だ。
栄養成分などの取扱いは、制度検討時の検討会報告書で「残された検討課題」とされていた。消費者庁は「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」(座長=寺本民生・帝京大学臨床研究センター長)を昨年1月に設置。検討会はほぼ1年にわたり会合を続け、12月27日までに報告書を取りまとめて公表した。
対象化が期待されていたビタミン・ミネラルは結局、「栄養機能食品制度において別途検討する」として現状のままとされたものの、トクホの関与成分として許可実績の多い糖類・糖質が制度対象になることで、届出件数の増加が予想される。
植物エキスについては現行制度上でも多く届け出られているが、機能性関与成分としての定義が改めて検討された。科学的根拠を得られたエキスとの同等性を担保できるかどうかが鍵になる。動物エキスは対象外だが、機能性関与成分が明確であれば、現行制度に基づき届け出られる。
公開された報告書では、昨年11月末公表の報告書案に対し、「本制度の適切な運用に向けた事業者の責務」、「現行制度への適用」の2項目が目次に追記された。ただ、報告書案の書き振りを整理したのみで、内容に大きな違いはない。
次に注目されるのは改正GLの公開時期と、その内容だ。報告書では、具体的な要件に関してはGL改正で定めるよう提言。特にエキス・分泌物については、「別途有識者等による意見を踏まえGL改正を行うべきである」とされており、対象範囲、同等性の確認方法、品質管理方法などとした重要項目に関する具体的な規定は全て改正GLで示されることになる。
ただ、改正GLが今年度中に公開される可能性は極めて薄いといえ、エキスに関して議論が長引く可能性が無視できない。また、改正案がまとまった後に試験的な運用が行われる可能性があるほか、届出データベースの改修も必要。対象拡大に伴い届出資料の増加が見込まれるため、大幅な改修が求められることもありそうだ。
このため、エキス等を対象に加えた本格的な制度運用が始まる時期は見通せない。