最高裁が初判断、広告も「勧誘」 消契法の従来解釈覆す、クロレラチラシ差止訴訟
(2017.1.30)


 不特定多数の消費者に働きかける新聞折込みチラシなど広告も、消費者契約法に基づき差止請求できる「勧誘」に当たり得るとの初判断を最高裁が24日、示した。従来、同法上の勧誘とは特定の消費者に向けて行う働きかけのことと解釈されていた。今後、同法の規制対象が広告に広がる可能性がある。


 消費者契約法上の勧誘の対象範囲をめぐっては、「必ずしも特定の者に向けたものでなければならないわけではない」として範囲拡大を求める声が、消費者委員会の消費者契約法専門調査会で上がっていた。対象拡大は事業者活動に大きな影響を与える懸念があるが、最高裁の判断を受け、消費者庁も従来の解釈を変える可能性が無視できない。


 今回の判断は、サン・クロレラ販売を相手取り、適格消費者団体の京都消費契約ネットワークが訴訟提起したクロレラチラシ配布差止等請求事件の上告審判決として、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が示したもの。同社が配布した新聞折込みチラシが同法上の勧誘に当たるかどうかが争点だった。


 最高裁は、新聞購読する一般消費者に向けた当該チラシは特定の消費者に働きかけたものではないため勧誘に当たらないと判断した二審判決について、「法令の解釈適用を誤った違法」だと指摘。不特定多数の消費者に向けた働きかけだとしても、「個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得る」としたうえで、「ただちに勧誘に当たらないとはいえない」との判断を示した。


 一方、当該チラシの配布は既に行われていないため、差止請求自体は退け、消費者団体の上告を棄却した。

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