ビルベリーエキス 眼疲労緩和 増える根拠論文 オムニカ(2017.2.9)
機能性食品原料メーカー大手の㈱オムニカ(東京都文京区)が、ビルベリーエキスを使ったRCT(ランダム化比較臨床試験)を連続的に行っている。一貫して眼疲労緩和作用に関する有効性を検証しており、2015年1月以降現在までに査読付き論文を4報も発表した。同エキスに関してはほかの原料メーカーなどもRCTを積極的に行っており、視機能に及ぼす作用に関して日本発の新たな機能性エビデンスが積み上がり始めている。同社では今後も継続的にRCTに投資する方針だ。
「まだ課題 RCT継続する」
オムニカが供給するビルベリーエキス末「ミルトアルゴス」(登録商標)は、抽出過程でアントシアニン配糖体の腸管吸収率を改善させる特許製法(WO/2009/031051)により生体利用率を向上させたもの。含有するビルベリー由来アントシアニンは、機能性表示食品の機能性関与成分としても複数の届出実績を上げている。
同社がミルトアルゴスについて実施したRCTの論文が最初に掲載されたのは15年1月。以降昨年12月までに計4報の論文が、『あたらしい眼科』や『薬理と治療』など国内査読付き学術誌に受理、掲載された。機能性表示食品の届出実績をつくった後もRCTを継続している格好だ。
全ての論文についてRCTにはミルトアルゴスを使用しており、検証した有効性も全てパソコン操作などVDT作業によって生じる眼疲労の緩和作用。最新の論文の共著者には、眼科学分野で著名な大野重昭氏、石田晋氏、北市伸義氏といった北海道大学大学院医学研究科教授らが名を連ねている。
オムニカの高尾久貴社長は特定の機能性を検証するRCTを繰り返し実施している理由について、「論文は、発表すると同時に新しい課題が必ず残る。その新しい課題を次の研究で継続的に調べていくことが重要だ」と指摘したうえで、「論文は一つの試験結果としては事実であるものの、それだけでは検証される(機能性に関する)科学的な事実のエビデンスとは言えない」と話す。
ミルトアルゴスを使った最初のRCT論文では、1日160㍉㌘摂取によるVDT作業に伴う眼疲労の緩和作用について有効性を報告。その後第2報では、同じ条件下で眼疲労を誘導した上で有効摂取量の下限値を検証し、1日107㍉㌘(アントシアニン換算40㍉㌘)であることを報告した。
さらに第3報では、やはり同じ条件下での眼疲労の緩和作用について①有効性発現までの摂取期間②第2報までと異なる形状で摂取した場合の有効性に関する同等性③ミルトアルゴス摂取量と血中アントシアニン濃度および有効性との相関性──を検証。その結果を受けて実施した最新第4報のRCTでは、ミルトアルゴスの摂取量依存的に血中アントシアニン濃度が向上するとともに、血中アントシアニン濃度の高い方が慢性的眼疲労の自覚症状もより軽減されることなどを報告している。
一連のRCTは全てUMIN‐CTRに事前登録の上で実施しており、被験者数は最低でも一群当たり12名以上と少なくない。研究投資額も決して小さくないとみられるものの、高尾社長は「まだまだ課題は残されており、機能性の検証は途中段階だ。今後も課題に対するRCTを継続していく」という。
同社による一連の論文の連続投稿について一部の業界関係者からは、「トクホ(特定保健用食品)も目指せる可能性がある」として、今後の動きに注目する見方も出ている。