「食薬区分見直しを」 表示制度巡り産業界要望(2017.2.9)
科学的根拠「病者データ認めて」
内閣府の規制改革推進室によると、ホットラインに昨年8月1日から年末までに寄せられた機能性表示食品制度関連の要望は4件、同制度とも関連する食薬区分関連は3件。特定保健用食品関連も1件あり、今年1月までに、これら全てについて所管省庁に検討要請を行った。
規制改革推進会議で機能性表示食品制度を取り扱うのは、医療・介護・保育ワーキンググループ(WG)。WGは昨年12月、消費者庁食品表示企画課を会合に呼び、健康食品産業界の問題意識に応じる格好で届出公表の遅れについて厳しく追及。制度運用の改善検討を強く求めている。
WGは今後の会合にふたたび同庁を呼んで近くヒアリングを行う方針で、同課を捕えて逃がさない構え。同課はホットラインに寄せられた一連の要望にも回答する必要があり、制度全体の見直しに向けた動きが事実上進みはじめた格好だ。
食薬区分の運用見直しを要望された厚労省も何らか回答する必要があるのは同様で、回答次第で機能性関与成分のさらなる対象拡大につながる可能性が出てくる。
食薬区分に関しては、現状5品目にとどまる生鮮食品の届出加速を念頭に置いた規制緩和を望む意見が上がっている。γ‐オリザノールなど「専ら医薬」を天然に含む生鮮食品およびその加工食品の届出を可能とする制度運用を求めたもので、バイオ産業団体のバイオインダストリー協会が日本バイオ産業人会議を通じて要望を上げた。
また、食薬区分審議を行う厚労省ワーキンググループの議事録公開を求める意見も上がっている。バイオ産業人会議が代表する形で要望したもので、現状のままでは「最終判断に至った理由が不明瞭で審議結果に納得いかないものもある」。加えて食品としての安全性が明らかな素材については非医薬への積極的な取り入れを検討するようにも求めており、この提案については業界団体の国際栄養食品協会(AIFN)もほぼ同じ文面で要望を上げた。
一方、機能性表示食品制度に関しては、「未病の改善」をテーマにした取組みを推進している神奈川県と、健康食品産業協議会が連名で要望。届出が可能な科学的根拠論文の適用について、健常者以外を被験者にした論文にまで拡大し、海外の食品機能表示制度と同等レベルに引き上がるように求めた。これにより「機能性食品産業の更なる発展および国民の健康の維持・増進が期待される」
科学的根拠に病者データを利用できない現行の届出ルールを巡っては以前から疑問の声が業界内外で上がっていた。その声に国家戦略特区にも指定されている神奈川県が加わる形となった今回の要望に対し、消費者庁がどう対応するかが注目される。