健康食品産業協議会 関口会長「第三者認証は必要」(2013.8.22)
日健栄協を含む業界8団体が加盟し、各団体の活動を統括する役割を担う「健康食品産業協議会」の関口洋一会長(日本水産㈱ファインケミカル事業部執行役員)は、健康食品の新機能性表示制度を巡りその有無が争点化している第三者認証について、それが取り入れられなければ「消費者、業界の双方にとってデメリットになる」と述べ、第三者認証の必要性を強調した。6日、弊紙取材に答えた。
「各社の判断で機能性表示が出来るのだとすれば、表示内容にかなりバラツキが出てくるのではないか。文章表現の問題だけでなく、どの程度のエビデンスでどの程度表示をするのかという問題も出てくるだろう。それは、まさに主婦連など消費者団体が懸念している状況ではないか」。
関口会長は、健康食品の機能性評価・表示に対する第三者認証が取り入れられなかった場合に想定される事象についてこう述べた上で、第三者認証を取り入れれば、「第三者がジャッジすることでバラツキを無くせる」と主張。また、「第三者が評価してくれるとなれば表示に対する不安は消費者、販売者とも少なくなる。逆に、それを各社の判断で出来るのだとすれば大きな不安が残る」として、第三者認証は消費者、業界がリスクヘッジ出来る仕組みだとも説いた。
一方、第三者認証を巡り、新表示制度づくりの中心となる消費者庁では、「諸外国でも例がない」や、「(食品機能の)評価基準を設定して認証するのは非常に難しい」などとして、国が第三者認証機関を認定したり、第三者認証に関する指針を示したりすることは、現時点では否定している。
これに対して関口会長は、「まだ何も決まっていないのだと思う」とした上で、「(第三者認証の導入は)業界で決められるものではない。きちんとお会いし、意見交換していきたい。第三者認証がなぜ必要なのかを説明し、分かってもらい、最終的に第三者認証の導入につなげたい」とし、産業協議会として消費者庁に働きかけを行っていく方針を示した。
●関口洋一・健康食品産業協議会会長 一問一答
──森下竜一・規制改革会議委員は「ボールは産業界が持っている」と言っているが。
制度づくりを行うには、国・学会・業界の三者が協働する必要があると思う。三者がともに汗を流さなければ良い制度は出来ないのではないか。産業協議会としても、汗を流していく。そのためにいま、(団体としての)足腰を鍛えている。
──業界8団体を束ねる団体のトップとして、新表示制度実現に向けて今後どう取り組むのか。
8団体の意見を集約するのが私の役目。「業界が割れては、バラバラになっては駄目だ」と森下委員は頻繁におっしゃっているが、そうおっしゃる理由は良く分かる。総論賛成・各論反対になってしまうと制度は成り立たない。産業界の意見集約をしていくことが最も大事だと考えている。
──今回の閣議決定に対する産業協議会としての総意を聞きたい。
何も言えなかった中で、機能性表示できる可能性が出てきたのだから、産業協議会としても歓迎している。これが総論であって、では各論はどうかというと、やはり第三者認証が必要だと考えている。その細部についてはまだまだ議論が必要だが、「各社判断で機能性表示出来るという仕組みは危険だろう」というのが産業協議会としての総意だ。
また、機能性の評価と表示を第三者認証でやるならば、現行の安全性認証制度も含め安全・品質・表示がパッケージになっている仕組みが望ましい。そうすることで信頼性をより増すことが出来るのではないか。
──健康食品通販企業が多数加盟している日本通信販売協会(JADMA)との連携はあるか。
産業協議会とJADMAの会員を合わせた健康産業に於けるシェアーは大きく、(機能性表示実現に向けて)両団体で合意形成できれば、総論賛成・各論反対とはならないかも知れない。これまであまり接点はなかったが、規制改革会議のヒアリングに一緒に参加するなど、ここにきて関係が出来始めている。具体的な話し合いはこれからだ。
──産業界の意見をひとつにまとめるというのはとても難しいことだと思うが。
機能性表示が全くできない今の状況に無理があることは皆、分かっているはずだ。産業として今後も健全に発展していくには、このままでは難しいという認識があり、機能性を消費者に伝えていく必要があるというのが産業界の総意だと思う。
そうした状況の中で、産業界が各論に於いて勝手なことを言い始めてしまえば、機能性表示の実現に支障をきたし、適正な(機能性)情報を消費者に伝える事が難しくなると各団体は考えているはずだ。そうであるならば、多少は意見が違ったとしても、(一致団結して)機能性表示実現に進もうと皆、考えていると思う。