食と健康で新たな売場  「機能性」軸にDgSが展開へ(2017.3.23)


 ドラッグストア(DgS)のサプリメント・健康食品売場が今後、姿を大きく変えることになりそうだ。業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が、ヘルスケア機能を軸にした新しい食品カテゴリーをDgSに導入し育成を図る。これにより、「食と健康」を巡る生活者ニーズに正面から応じる。生活者ニーズに合わせた機能を次々と付加しているコンビニエンスストア業界との競争激化が予想される中、DgSの業態進化や新市場創出などを図るために業界を挙げて取り組む方針を掲げる「街の健康ハブステーション構想」の一環だ。

情報提供も推進 正しい活用促す
 一定のヘルスケア機能を訴求できる機能性表示食品や栄養機能食品をはじめ、リスク軽減食品、運動支援食品、体力支援食品、健康食品などといったヘルスケア関連食品(ヘルスサポート食品)のほか、スマイルケア食品(介護食)などで商品構成する売場作りを推進する。これをDgS業界ならではの「食と健康」に関する新食品カテゴリーとして打ち出し、業界を挙げて販売を強化。これにより顧客満足の向上を図るとともに、既存食品市場を侵食することなく新たな市場創出に取り組む。

 「新たなカテゴリーに新たな市場は宿る」とJACDSの宗像守事務総長は強調。JACDSは、街の健康ハブステーション構想を実現し、DgS業界売上高を2025年までに10兆円(16年約6.5兆円)、店舗数3万店(同約1万9000店)の達成を目指す方針を掲げている。その中で「食と健康」分野に掛ける期待は大きい。「健康寿命延伸の実現と数兆円の市場創造が期待される」とする。

 生活者の健康リテラシー向上や適切な商品選択・使用を促す目的で、正しい情報提供を行える店員人材の育成と同時に、来店客に対する機能性食品成分に関する情報提供にも力を入れる。日本医師会も導入している「ナチュラルメディシンデータベース」の日本語版を活用し、来店客に有効性から安全性、医薬品との相互作用まで幅広な情報提供を行う。リスク情報も包み隠さず伝えることで、生活者にヘルスケア食品の正しい活用法の普及を図る方針だ。

 機能性表示食品については、新食品カテゴリーの「核」とする考え。健康食品を初めて利用するような人でも手軽に商品選択できるように部位別、目的機能別に棚割りした売場づくりを進める方向だ。JACDSが販売マニュアルを作成し会員企業に配布するなどして販売支援を行うほか、ポスターやパンフレットを通じて来店客に対する機能性表示食品制度の啓発活動も進める。

機能性表示食品 主要販路化図る
 JACDSは機能性表示食品の市場動向について、「届出件数が1000品目を超えると通信販売から実店舗に市場シフトする」と強気の姿勢。今春以降から売場づくりのトライアルを開始し、届出総数が1000件を大きく超えている状況が確実視される来春から、DgS店舗全店で本格的な展開を始める計画だ。これに連動する形で各店舗の関連商品の売場を、新分類に合わせた内容に一新していく方向性を示している。

 また、機能性表示食品と栄養機能食品の普及・推進を図る目的で、サプリメント業界団体の国際栄養食品協会など外部と連携し、DgS企業・店舗が、売場づくりや安全性を担保した表示・情報提供方法の確立などを行うための支援を進める。同文書院が発行する「ナチュラルメディシンデータベース」の活用もその一環。JACDSでは、機能性表示食品などの普及に当たり、「製配販」が一体となった制度啓発、成分訴求などの取り組みを呼び掛けている。

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