ミカン発酵茶 長崎県 届出に向け準備万端(2017.3.23)


 長崎県がミカンと茶葉を混合した発酵茶の機能性表示に取り組んでいる。これは2014年に農林水産省の助成事業にも採択された研究プロジェクトで、同年から16年度まで3年かけて製品化が実現した。

 ポイントは、それまで廃棄されていた温州ミカン未熟果と三番茶葉(下級茶葉)を使っている点。ミカン未熟果は機能性成分のヘスペリジンを高濃度に含有するものの、良質ミカン収穫のために、早期に摘み取られ、廃棄されていた。三番茶葉は夏に収穫されるが、下級茶葉のため、通常は生産調整のために刈り取り後に捨てられる。

 いずれも「役に立たない」として廃棄されていた二つの農産物だが、機能性表示食品制度により、にわかに舞台の主役に躍り出ている。研究を行ったのは、長崎県立大学、長崎県農林技術開発センター、長崎大学、九州大学などのグループ。

 ヘスペリジンは毛細血管強化、血流改善、脂質濃度低下などの様々な効果が期待されているが、難溶性のため、ヒトの体内で吸収されにくい。長崎県立大学らのグループは、三番茶葉と混合発酵させることで、溶解性を約5倍に向上させた。このミカン発酵茶は渋味が弱く、香りも紅茶よりよいという。

 長崎県では、機能性表示食品として消費者庁に届出を行うべく、ヒト試験も終えている。しかし、「血管強化の表示が受理されるか微妙」(県農林技術開発センター)という。地域の農産物資源の活用例として、ぜひとも機能性表示食品化に向けて応援したい素材だ。

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