安全性確保を先行議論 機能性表示制度検討(2013.12.26)

消費者庁検討会

 消費者庁は20日、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」(松澤佑次座長・大阪大学名誉教授)の初会合を開き、健康食品など食品の機能性表示制度の議論をスタートさせた。検討会は今後、安全性確保や機能性評価のための科学的根拠レベル、国の関与などについて、有識者からのヒアリングなども行いつつ議論を深め、来夏を目途に報告書を取りまとめる。消費者庁はこれを受けて、必要な法令等の改正や制度周知を行い、2014年度末までに制度実施を目指す。

 食品の機能性表示制度は、6月に閣議決定された「規制改革実施計画」「日本再興戦略(成長戦略)」に盛り込まれた施策の一つで、今年度から検討を開始し、2014年度に結論、制度実施が求められている。実施計画では制度の具体像も示しており、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性表示できるものとし、参考として米国のダイエタリーサプリメント制度を挙げている。

 検討会には関係する農林水産省、厚生労働省もオブザーバーとして参加。3省庁が連携しながら制度化に向けた議論を進めていくことになる。

 この日の検討会では、まず、同庁から現行の国内制度と米国制度の概要説明があった。
 このうち米国制度については、事業者責任で機能性表示が可能である一方、疾病リスク低減表示は一部の例外を除き禁止されていること、国の評価を受けていない旨の免責表示が必須であること、FDA(米食品医薬品局)への届出制を採用していることや有害事象の通告義務があるなどと説明した。

 一方で、昨年10月に米国保健福祉省(HHS)が公表した調査結果を基に、米国制度の問題点も取り上げた。同調査では、表示の意味やエビデンスの質、エビデンスの総合性といった、有効性の実証にあたり考慮すべき観点が十分に考慮されていない可能性があること、免責表示を表示しない不適正表示や有害事象発生時の連絡先の不表示などがあったと説明した。

 なお、今後のスケジュールも示され、安全性確保に関する議論を先行させ、表示の根拠となる科学的根拠の考え方、消費者に誤解を与えない表示方法などの検討については、同庁が今年度調査事業として実施している、消費者意向調査結果を待ってから進めるとの説明があり、委員も了解した。

 その後の議論では「米国では(消費者)教育が入っている。(機能性を)表示する上では教育が連動していないといけない」(梅垣敬三委員・国立健康・栄養研究所)など、消費者教育の重要性を指摘する意見があったほか、機能性表示が消費者に誤認を与えかねないとして、監視や規制の強化を求める意見もあった。これに対し同庁は、規制強化にあたっては、メニュー表示偽装問題を受けて、現在、景品表示法の措置命令権の都道府県への付与や、課徴金導入を検討するなど、監視執行体制の強化を進めていると説明。機能性表示制度についてもこれら関連法令の規制対象になると説明した。

 また、今後検討を進めていくにあたり、サプリメントや生鮮食品などカテゴリーを分けて議論する必要があると座長から提案があり、同庁で対応することになった。錠剤・カプセル形態と野菜などをそのまま摂取するのでは安全性や機能性に違いがあるという委員からの指摘を受けたもの。

 このほか、健康、栄養政策との整合性を図ることや、サプリメントは食事の補助であり、食事が基本であることを明確に伝えること、生鮮食品など農林水産物では栽培条件や時期で成分が変動するとの意見があった。

 次回は1月31日に開催し、安全性確保について議論する。
【写真は初会合の会場。約半年後の14年夏にも報告書を取りまとめる】

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