デュポン、ヘルス&ニュートリション事業を急拡大 FMCの食品原料事業を買収

(2017.4.10)


 米国の総合化学企業デュポン社の食品関連事業の拡大が急ピッチだ。同社は3月31日、米国FMC社の健康・食品部門を買収したと発表した。買収額は約1600億円で、デュポンは自社の農薬事業の一部を同社に売却する。


 FMCは売上高約3700億円。農薬や特殊化学品、医薬関連、食品原料事業などを展開。アジア地域でも食品原料の工場をいくつか持つ。デュポンは米国ダウ・ケミカルとの合併を進めているが、主に合併後の両社の農薬事業に起因して、欧州委員会が合併承認に難色を示した経緯があり、両社は農薬事業の再構築に取り組んでいた。


 デュポン、ダウ・ケミカルともに農薬事業は強い事業基盤を持っているが、デュポンは一部農薬事業を売却し、健康・食品部門を強化することで、合併作業を前進させる。すでに欧州委員会は3月27日に合併を条件付きで認可している。


 合併後は売上高約11兆円の世界最大の化学企業となるが、事業会社は農業、基礎化学品、特殊化学品の三つに分割される。デュポンは乳酸菌工場の大規模な拡充に乗り出すなど、ここにきて健康・食品分野の事業拡大を加速している。今後の動向が注目されそうだ。

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