溶出試験「やってみないと分からない」 医薬品分析機関にも難問 専門家が指摘
(2017.4.24)


 機能性表示食品のうち錠剤やカプセル形状の食品で実施する必要が今後求められる可能性の高い「溶出試験」について日本健康食品規格協会(JIHFS)が21日、都内でセミナーを行い、講演した茨城県薬剤師会検査センター技術部医薬品検査課の椿正徳課長は、サプリメントや健康食品は試験方法が確立されていないため、「(溶出)成分の測定は非常に難しいと考えられる。実際のところはやってみないと分からない」との見解を述べた。


 試験方法が確立されていない以上、溶出試験の実施が必要となった場合、その試験で得られた結果が正しいことをどのように証明していくかも大きな課題になるという。


 椿課長によると、医薬品の一部については溶出試験の方法が確立され、日本薬局方でも試験方法が定められている。


 ただ、確立されている溶出試験の方法は、主に単一成分に関する測定方法であり、そのうえで妨害成分の影響もほとんどない。そのため、健康食品やサプリメントで溶出試験を実施するに当たっては「主要な溶出成分は何か、それは単一成分なのか、あるいは何種類かを測定する必要があるのか、といったところが課題になる」と述べた。


 また医薬品でも溶出試験の対象となるのは、製品間やロット間で溶出速度が変動しやすい製剤に関してで、試験を実施しても、「100%が溶出するわけではない」(椿課長)。また、販売後の調査で溶出試験の結果が「不適合」となり、回収に至る場合も少なくないという。


 椿課長は、「医薬品は、確実に崩壊し、主要成分が溶出しなければいけないということで、試験方法と規格が定められている。医薬品に近くなるようなところもあるが、(いわゆる)健康食品についても、機能性表示食品と同様に適正な試験を実施することが求められる」と述べた。



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