機能性関与成分 16年度検証結果 消費者庁 届出撤回促す可能性 (2017.4.20)
消費者庁が2016年度に実施した機能性表示食品に関する検証事業のうち、買上調査と機能性関与成分の分析方法調査の結果が18日、明らかになった。買上調査では機能性関与成分の含有量が表示値を下回るものが6件見つかり、分析方法調査では定量確認に関する届出情報が不十分と判断されたものが124件あった。これら商品や届出について同庁は、届出者に追加資料の提出を求める方針。買上調査で表示値を下回った商品に関しては、品質管理に問題点がなかったかなど原因を精査した上で、場合によっては届出撤回を促す考えだ。
追加資料求め 原因精査
消費者委員会が18日に開いた本会議に出席した同庁食品表示企画課が明らかにした。この日の会議は議題の一つに機能性表示食品制度を置いていた。
同課はこの日、制度施行初年度に当たる15年度に実施した分析方法調査結果を踏まえた対応状況についても明かした。同庁は調査の結果、届出情報が不十分だとして定量・定性確認に関する追加資料を68件に対して求めていた。このうち57件に関しては追加資料から確認が可能と判断し、変更届出の提出を要求。残り11件については更なる追加資料および追加分析が必要だと判断しており追加の資料や分析を求めるなど、現在も届出者との間でやり取りを進めているという。
この11件について同課課長は、「中には分析方法だけでなく、分析方法の詳細を求める過程で生じた、機能性の科学的根拠に対する疑義も射程に入れて、事業者とやり取りをしている」などと述べ、11件の中には、撤回を促すことも視野に入れている届出が存在することを示唆した。
同庁は16年度調査で、調査件数を15年度調査と比べて大幅に増やした。特定保健用食品の関与成分として許可実績のない機能性関与成分を中心に、調査対象届出や商品を選択的に抽出したようだ。15年度と16年度で調査対象に重複はないとみられる。
同庁によると、16年度の買上調査では、15年4月1日から16年9月30日までに届出のあった522件のうち51件(15年度17件)、機能性関与成分としては16種類(同6種類)を対象に、機能性関与成分の含有量を分析した上で表示値の妥当性を調査。その結果、表示値を下回る場合がある旨が記載されている商品1件を含めて計7件で表示値を下回っていた。また、届出資料記載の分析方法の多くに不備がみられたという。
表示値を下回っていた6品について同庁は、原因確認を届出者に求めた上で、品質管理や届出書類の内容に問題があることがはっきりした場合は「撤回等を促していく予定」だとしており、厳しい姿勢で臨む方針を示している。
品質管理の課題も念頭に
一方、15年度に実施した買上調査でも、表示値を下回っているもの、逆に過剰に含まれているもの、ロット間でばらつきの大きいものなど品質管理上の問題が疑われる商品が見つかっていた。ただ、その後、届出者から提出された追加資料に基づき再分析を行った結果、問題が疑われたすべての商品について「問題がないことが確認された」(同課)という。
他方、機能性関与成分の分析方法調査は、届出書類に記載された分析方法に基づき第三者が実際に分析できるかどうかなどを調べるもの。16年度調査では、15年1月から16年9月30日までに届出のあった379件(15年度146件)、機能性関与成分としては延べ443成分(同延べ164成分)について調査したところ、定量確認では「そのまま分析可能と考えられるもの」が調査対象164件の過半数に当たる103件で認められた一方で、「届け出された情報が不十分」なため第三者が自ら論文などを調べて分析する必要のあるものが、およそ3割に当たる47件見つかった。
この調査では、届け出られた機能性関与成分が定性的(特異的)に同定可能かどうかを調べる定性確認も行っており、調査対象443件中「機能性関与成分に特異性がない分析方法」と判断されたのは、124件(28%)だったという。