危害相談が増加傾向に 16年上期だけで158件 東京都(2017.4.20)


 東京都消費生活総合センターは10日、2016年上半期の「危害」に関する消費生活相談の概要を発表した。13年の2000件以上の相談件数から徐々に減少していたが、16年上期は前年同期と比較し10.1%増加の980件の相談が寄せられた。そのなかで、健康食品が158件と急増している。

 危害相談について、その症状を表す危害内容別にみると、ここ5年は「その他の傷病及び諸症状」「皮膚障害」が1位、2位を占めた。16年上期では「消化器障害」が大きく増加し、その相談事例として、「酵素食品・サプリメントなどの健康食品の摂取により下痢した、吐いた、胃腸の調子が悪くなった」などが寄せられているという。

 商品・役務別にみると、健康食品が158件と抜きんでて1位、次いで美容医療65件、エステティックサービス54件、外食47件、基礎化粧品39件などが続く。特に健康食品は前年度で130件であった相談件数が、上半期で数字を上回ったかたちだ。

 健康食品158件の危害相談を症状別にみると、消化器障害85件、皮膚障害46件、その他の傷病及び諸症状26件、呼吸器障害1件に分別されている。

 同調査は、東京都消費生活総合センター、都内区市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談情報をPIO‐NETを用いて分析したもの。

機能表示食巡る相談も 相談者は「医師の所見」
 都によると、危害相談が寄せられた健康食品の中には機能性表示食品も含まれる。公表資料では、「相談事例」として、都内在住の40歳代男性から寄せられたという重い消化器障害が疑われる相談を取り上げ、文面に「担当医の所見は『当該機能性表示食品による薬物性肝炎』」との記載もあったことから、業界内外に波紋を呼んでいる。

 この情報に消費者委員会が反応した。機能性表示食品制度の施行状況を議論するため、消費者庁食品表示企画課を呼んで18日に開いた本会議で河上委員長は、当該商品の健康被害情報について「事業者(届出者)から消費者庁に届出はあったのか」と同課の赤﨑課長に詰め寄った。

 機能性表示食品の届出者は、万が一届出商品で健康被害が起こった場合、「入手した情報が不十分であったとしても速やかに」(ガイドライン)同庁に報告することが求められている。河上委員長の追及に対して赤﨑課長は「情報は把握しているが、個別案件であり申し上げられない」「事実関係も定かでない」などとして明言を避けた。

 実際、都が公表資料で取り上げた40代男性からの相談内容の事実関係は定かでない。都消費生活総合センターによると、この公表資料で毎回取り上げる相談事例は「各商品・役務について最も重篤と思われる相談」。ただ、40代男性からの相談内容にある「医師の所見」について、都で診断書を確認するなど裏付けを行ったかどうかについては、「私どもにお答えする権限はない」として回答を避けており、因果関係ははっきりしない。

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