健食事業者向けHACCP 手引書 日健栄協が作成へ (2017.4.20)
厚生労働省がすべての食品事業者に義務付ける方針の食品衛生管理の国際基準「HACCP」について、日本健康・栄養食品協会が健康食品事業者向けの導入手引書を作成することになった。日健栄協によると厚労省からの依頼を受けて作成するもので、健康食品GMP認定製造所向けと非認定製造所向けの二通りの手引書を、2017年度中を目途に取りまとめる。
日健栄協が17日に開いたメディア懇談会の中で協会が明らかにした。手引書は、協会の健康食品部が中心となり取りまとめる。
日健栄協はHACCPと健康食品GMPの関係について「用語的な相違点はあるものの、衛生管理要件には共通する部分が多い」との認識を示す。そのためGMP認定製造所向けの手引書の内容は、健康食品GMPをベースにすることで、「事業者の負担軽減を図る」考え。一方、同時に作成する非認定製造所向けの手引書は、サプリメント形状製品の製造所に限定したものにするという。
厚労省はHACCP義務化の適用基準について、コーデックスHACCPの7原則を要件とする基準(基準A)を原則としつつ、対応困難な小規模事業者や業種に関しては、より弾力な運用を可能にする衛生管理基準(基準B)を設ける方針を示している。健康食品製造事業者は基準A・Bのどちらに該当するかについて日健栄協は、「現時点では厚労省とのすり合わせは出来ていない。健康食品業界は製品数が多く、切り替わりも早いという事情もある。健康食品GMPそのものの位置づけについても議論しながら詰めていきたい」(健康食品部)という。
表示・広告相談事業を開始 景表法など適正性をアドバイス
日健栄協はメディア懇談会で2017年度事業の運営方針を説明した。
部署別の今年度事業としては、健康食品事業者向けHACCP手引書を作成する健康食品部がほかに、景品表示法や健康増進法にかかわる健康食品の広告やパンフレットなどの表示に関する事業者向け相談事業を開始する。協会内に専門の担当者を置いて6月から週に1回の割合で試行的に事業を開始し、相談件数などの状況に応じて回数を増やすことも検討する。
相談事業の目的は健康食品の「適正な表示及び広告の推進」(日健栄協)。そのため「上手い広告のやり方を指南するものではない。健増法や景表法に照らして適正なものかどうかをアドバイスする」(健康食品部)としている。
また同部では、健康食品GMPについて、昨年立ち上げた『これからの健康食品GMPを考える会』の活動を今年度も継続し、同会の参加企業とともに、「HACCPの導入義務化への対応」「国際基準とのハーモナイゼーション」といったGMPを巡る課題を中心に議論し、今年度中にも提言を取りまとめる。
「考える会」は、事業者の意見や要望を取り入れながら、健康食品GMP制度を現在の社会情勢に則したものに整備する目的で協会が設立したもの。これまでに3回の会合を開いており、参加企業数は7社。参加企業の募集は現在も行っている。
一方、下田理事長は「健康食品業界は大きく様変わりしてきている。言い過ぎかもしれないが、過度期にある」との所見を語り、最大の変化として機能性表示食品制度の誕生を挙げ、「順調な滑り出しながらも、いくつか問題点も見えてきている」として、届出の長期化や生鮮食品の届出件数が少ないなどの問題点を指摘した。
機能性表示食品については今年度、健康食品産業協議会と協力して「ガイドライン作成などに力を注いでいく」ほか、昨年の機能性関与成分検討会で議論された事後チェック体制、広告自主基準、原料製造に関する自主規格の作成などを通じて「制度をより良くしていくための取り組みを進めて参りたい」という。