デュポン FMCの食品原料事業を買収 (2017.4.20)
米国の総合化学企業デュポン社の食品関連事業の拡大が急ピッチだ。同社は3月31日、米国の化学企業FMC社の健康・食品部門を買収したと発表した。デュポンは乳酸菌工場の大規模拡充に乗り出すなど、ここにきて健康・食品分野の事業拡大を加速している。
FMCは売上高約3700億円で、農薬や特殊化学品、医薬関連、食品原料事業などを展開しており、アジアにも食品原料工場を展開している。同社健康・食品部門の買収額は約1600億円で、デュポンは自社の農薬事業の一部をFMCに売却する。
今回の買収は、デュポンが進めている米国の大手化学企業ダウ・ケミカルとの合併作業に関わるもの。この合併に関しては、主に両社の農薬事業の規模が大きくなり、寡占が懸念されることから、欧州委員会が合併承認に難色を示していた。
デュポンはFMCの健康・食品原料を買収し、同時に自社の一部農薬事業を売却することで、農業・食品事業の強化とダウ・ケミカルとの合併実現を図る。すでに欧州委員会は3月27日に、両社の合併を条件付きで認可している。
合併後は売上高約11兆円の世界最大の化学企業が誕生するが、事業体は農業、基礎化学品、特殊化学品の3会社に再編される。