遺伝子組換え表示の見直し議論開始 消費者庁が検討会発足 早くも難航の展開(2017.4.27)


 消費者庁の第1回「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(座長・湯川剛一郎東京海洋大学教授)が26日、都内で開催された。遺伝子組換え食品表示制度は、2001年4月に導入され、現在、大豆、トウモロコシ、馬鈴薯、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤの8つの農産物と同原材料の33加工食品群が表示対象。今年2月16日時点の安全性審査済みの遺伝子組換え食品は、食品310品種、添加物25品目となっている。

 焦点は、加工食品(醤油、異性化液糖など)で遺伝子組換えDNA・タンパク質が検出できない場合は、表示対象外としている点。EUは表示対象としている。

 会合では、表示対象外とされた加工食品群に関して、消費者庁が国立医薬品食品衛生研究所などに委託した最新技術によるDNA検出試験の結果が報告され、コーンフレークが全品(5商品)、デキストリンは6商品中1品でDNA検出が可能だったことが分かった(他商品は全て検出不可能)。

 消費者庁は、米国を中心に遺伝子組換え農産物の栽培面積が急増し、日本でも流通量が増加していることなどから、表示対象範囲の拡大などを実施したい考え。

 だが、「はん雑な表示制度の見直しは企業の大きな負担になる」(武石徹・食品産業センター部長)と事業者から難色を示す意見が出される一方で、「消費者は遺伝子組換え食品に不安感を抱いている。それに対応した表示制度であるべき」(夏目智子・全国地域婦人団体連絡協議会幹事)など、早くも議論は対立の様相を見せており、難航が予想される。

 次回会合は6月20日で、次回以降、消費者団体や事業者へのヒアリングが今秋まで数回実施される予定。とりまとめは来年3月頃としている。

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