反ドーピング法案 今月にも国会提出へ サプリ検査体制の記述はなし(2017.5.11)
超党派のスポーツ議員連盟(会長・馳浩衆議院議員)が議員立法を目指しているアンチ・ドーピング法案が、今月中にも国会提出される見通しとなった。WADA(世界アンチ・ドーピング機関)の禁止リストにある物質は摂取しないよう法律に明記するが、サプリメント(食品)分野の検査体制については記していない。
スポーツ議員連盟では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで3年弱しかないことから、昨年10月にアンチ・ドーピング法案の作業部会を設置し、今4月28日に総会を開き、今国会での法案提出を決めた。今月中にも国会に提出する見通しで、2018年度施行を目指す。
最大の焦点だったドーピング違反者に対する刑罰化は見送られた。文部科学大臣が関係機関に選手の個人情報を例外的に入手できるよう明記したほか、検査体制の整備のために政府が必要な財政措置を講じることも記した。
WADAの禁止物質リストに記載された物質を摂取しないよう選手に求めることも法案に明記したが、サプリメントなど食品のアンチ・ドーピング検査・認証に関しては記していない。
東京五輪の検体採取数は約6500と予測され、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)の検査員や施設(㈱LSIメディエンスに委託)では、対応できないことから、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は今年3月、仮検査施設の建設を決めている。
サプリメント(食品)のアンチ・ドーピング検査・認証は、現在、JADA(公益財団法人・日本分析センターに委託)ほか、英LGC社(日本総代理店・バイオヘルスリサーチリミテッド)が行っている。
しかし、アンチ・ドーピングの法制化が濃厚になったことから、今後、食品の検査・認証ニーズが高まることも予想される。海外ではサプリメントに起因したドーピング違反例も多い。食品分野の検査体制をどう拡充していくのか。今後の課題となりそうだ。